有給休暇の繰越と時効2年
使わなかった年次有給休暇は翌年度に繰り越せます。ただし無限に貯まるわけではありません。 請求権が2年で時効消滅するため、繰り越せるのは前年度に付与された分までです。 退職を考えている人にとっては、いま何日残っていて、 そのうち何日がいつ消えるのかを把握しておくことが実益に直結します。
このページは労働基準法39条・115条の条文と、厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」に基づいています。
時効2年の根拠は労働基準法115条
労働基準法115条は、請求権の時効を2つに分けています。
| 請求権の種類 | 時効 |
|---|---|
| 賃金の請求権 | 5年 |
| 災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く)年次有給休暇はこちら | 2年 |
未払い残業代などの賃金は5年(附則により当分の間3年)ですが、 年次有給休暇は2年です。混同されやすいので注意してください。 賃金の時効については未払い残業代を請求できる期間にまとめています。
保有できる上限は「今年の付与+前年の付与」
付与された日から2年で消えるということは、同時に保有できるのは2年分までということです。
| 勤続年数 | 今年の付与 | 前年の付与 | 保有の上限 |
|---|---|---|---|
| 1年6か月 | 11日 | 10日 | 21日 |
| 3年6か月 | 14日 | 12日 | 26日 |
| 6年6か月 | 20日 | 18日 | 38日 |
| 7年6か月以上 | 20日 | 20日 | 40日 |
前年度分をまったく使わなかった場合の上限です。 上限は40日という説明をよく見かけますが、それは付与日数が20日に達している人の話で、 勤続年数が短い人や比例付与の人の上限はもっと少なくなります。
古い分から使うか、新しい分から使うか
どちらから充当するかについて、労働基準法に定めはありません。 就業規則で決めている会社が多く、繰越分から先に消化する扱いが一般的です。
労働者にとっては繰越分(古い分)から使うほうが有利です。 新しい分から減らすと、時効が近い古い分がそのまま消えてしまうためです。 就業規則にどう書かれているかを確認しておくと、消滅する日数を減らせます。
就業規則の探し方は就業規則はどこで見られるかにまとめています。会社には周知する義務があります。
退職するときに残った分は消える
退職日を過ぎると年次有給休暇は取得できません。 買い上げの制度は原則としてなく、使わなかった分はそのまま消えます。 繰越を含めて30日以上残っている人も珍しくないため、 退職日を決める前に残日数を確認してください。
消化しきれない場合は、退職日を後ろにずらすことで日数を確保できることがあります。 次の基準日をまたげば新しい付与も加わります。 退職日と最終出社日の組み方は退職日・有給消化の逆算シミュレーターで計算できます。
よくある質問
有給休暇は何年で消えますか?
2年です。労働基準法115条は、この法律の規定による賃金の請求権は5年間、災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く)は2年間行わない場合に時効によって消滅すると定めています。年次有給休暇の請求権はこの「その他の請求権」にあたるため2年です。厚生労働省の解説も、年次有給休暇の請求権の時効は2年であり、前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に与える必要があるとしています。
保有できる日数の上限は何日ですか?
法律上、繰り越せるのは前年度に付与された分までなので、その年の付与日数と前年度の付与日数の合計が上限になります。付与日数が最大の20日である人が前年度分20日をまるごと繰り越した場合、合計40日が上限です。比例付与で週3日勤務の人が6年6か月以上なら11日なので、上限は22日になります。
有給を使うと古い分と新しい分のどちらから減りますか?
労働基準法に定めはありません。就業規則でどちらから充当するかを定めている会社が多く、繰越分から先に消化する扱いが一般的です。労働者にとっては、時効が近い繰越分から使うほうが消滅する日数が少なくなり有利です。会社の就業規則にどう書かれているかを確認してください。
退職時に残った有給は買い取ってもらえますか?
買い上げの制度は原則としてありません。年次有給休暇は実際に休むための制度なので、金銭で代えることは本来の趣旨に反するためです。退職日を過ぎると取得できなくなり、残った日数は消えます。ただし会社が任意に買い上げることまで禁じられているわけではないため、就業規則や労使の合意で買い上げが行われることはあります。まずは退職日までに消化できるよう日程を組むのが確実です。