施設に栄養士が一人しかいない職場は珍しくありません。「自分が辞めたら回らない」という状況が、退職を難しくします。

後任の確保は施設・会社の責任

まず整理しておくべきことがあります。後任を見つけるのは、あなたの義務ではありません

期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条1項により、解約の申入れから2週間の経過で契約は終了します。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典: 民法627条1項

「代わりが見つかるまで」は期限のない引き延ばしになりやすい表現です。応じる場合でも、退職日を明確に決めてください。

引き継ぎ書を残す

一人職場では、業務が個人の頭の中に蓄積しています。書面に残すことが、自分を守ることにもなります

書き出す内容の例。

  • 献立作成のサイクルと使用しているソフト
  • 発注先、発注の周期、単価
  • 利用者・患者ごとの食種、禁止食品、アレルギー
  • 個別対応の内容と経緯
  • 衛生管理の記録の付け方と保管場所
  • 各種帳票の提出先と期限
  • 加算の算定に関わる書類(該当する場合)

「毎月◯日までに◯◯へ提出」といった期限のあるものを最優先で書いてください

個人情報は施設に残す

利用者・患者の情報は施設が保有するものです。自分の控えとして持ち帰らないでください

引き継ぎ書に個人情報を含める場合、それは施設内の書類として施設に残すものです。

相談できる相手がいないとき

一人職場は、業務の相談だけでなく、悩みを話す相手もいない環境になりがちです。

  • 都道府県の栄養士会(所属している場合)
  • 養成校のつながり
  • 同じ分野で働く知人

外部に相談できる先を持っておくと、判断の材料が増えます

体調に関わる場合は、産業医(いる場合)や医療機関に相談してください。

辞めさせてもらえないと言われたら

  • 退職届を書面で提出し、控えを保管する
  • いつ、誰に伝えたかを記録する
  • 応じてもらえない場合は内容証明郵便で送る
  • 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)に相談する

退職届は施設や会社に到達した時点で効力が生じます。「受理しない」と言われても影響しません。

罪悪感について

一人職場を辞めることに罪悪感を持つ人は多くいます。ただし、一人しか配置していないのは組織の選択です。その体制のリスクを個人が引き受け続ける必要はありません。

体調を崩してから辞めるより、判断できるうちに辞めるほうが、結果として双方にとって影響が小さくなります。