動物病院は勤務時間の管理が曖昧になりやすい職場です。確認すべき点を整理します。
労働時間にあたる可能性が高いもの
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
- 開院前の準備(器具の準備、入院動物の世話、清掃)
- 閉院後のカルテ整理・片付け・消毒
- 診療時間中に取れなかった休憩の実態
- 院内の勉強会・症例検討会
- 入院動物の管理のための休日出勤
「診療時間は9時から19時」という表示と、実際の拘束時間は別です。
休憩時間について
労働基準法34条は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。
休憩時間は労働から完全に解放されている必要があります。休憩中に電話番をしている、急患が来たら対応する、という状態であれば、それは休憩ではなく労働時間(手待時間)です。
割増賃金
- 時間外労働: 法定労働時間を超える部分
- 深夜労働(午後10時〜午前5時)
- 法定休日の労働
夜間の急患対応が常態化している場合、深夜割増が正しく計算されているかを確認してください。
確認する資料
- 給与明細(基本給、各種手当、割増賃金の内訳)
- タイムカード・勤怠記録
- シフト表
- カルテの記載時刻(実際に働いていた時刻の記録になる)
- 就業規則・賃金規程
在職中に写しを取ってください。退職後は入手が困難になります。
タイムカードがない病院では、自分で出退勤の時刻をメモや写真で記録しておきます。
請求する場合
- 1 資料を集めて、実際の労働時間と支払われた賃金を突き合わせる
- 2 病院に説明を求める
- 3 解決しない場合は労働基準監督署に相談する
金額が大きく話し合いで解決しない場合は、弁護士への相談も選択肢です。
個人経営の病院での注意
- 就業規則がない場合がある(常時10人未満の事業場には作成義務がありません)
- 36協定が締結されていない場合、そもそも時間外労働をさせること自体が問題になります
- 労働条件通知書が交付されていない場合、労働条件の確認から始める必要があります
就業規則がないことは、労働基準法が適用されない理由にはなりません。
時効に注意
賃金請求権には時効があります。気づいた時点で早めに相談してください。