退職理由は、伝える相手によって求められる内容が違います。

職場で伝えるとき

「一身上の都合により」で足ります。詳しい事情を説明する義務はありません。

理由を細かく話すと、その一つひとつに対して「件数を減らせば解決できる」といった引き止めの材料を与えることになります。意思が固まっているなら簡潔に伝えてください。

  • 「一身上の都合により、退職させていただきたく思います」
  • 「よく考えた結果です。ご理解いただければ幸いです」

体調が理由の場合は、診断書を示すと話が進みやすくなります。

組織の方針との食い違いが理由の場合

細かく述べる必要はありません。組織の運営に関わる問題は、話し合っても平行線になりやすいためです。

ただし、明らかに利用者の不利益になる運用が行われていると考える場合は、市区町村の担当課や指導監査の窓口に相談する道があります

転職の面接で説明するとき

面接では、退職理由から「次の職場で何をしたいか」につながる説明が求められます。

守秘義務があるため、特定のケースの内容には触れられません。この点は面接の冒頭で断っておくと話が進めやすくなります。

  • 「守秘義務がありますので、個別の事例についてはお話しできませんが」

説明の組み立て方としては、次のようになります。

  • 何を経験したか(分野、件数の規模、連携した機関の種類)
  • なぜ環境を変えようと思ったか(事実ベースで)
  • 次の職場で何をしたいか

前職の批判は避けてください。とくに前の職場の利用者対応について具体的に語ることは、守秘義務の観点からも避けるべきです。

消耗が理由の場合

「体調を考慮して環境を変えた」という説明で足ります。

現在は問題なく働ける状態であることを説明できるようにしておいてください。回復の途中であれば、どの程度の勤務が可能かを正直に伝えたほうが、入職後の食い違いを防げます。

この職種では、消耗を経験した人は珍しくありません。正直に伝えたうえで、次にどういう環境を求めるかを話すほうが、面接官にも伝わります。

厚生労働省は採用選考にあたって、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を採否の判断基準としないよう求めています。答えたくない質問に答えを強いられる筋合いはありません。

利用者・家族に伝えるとき

いつ、どう伝えるかは上司と相談してから行ってください

相談援助では、支援者との関係そのものが支援の基盤になっていることがあります。担当交代が本人に与える影響を見込んで、時間をかけて伝える必要があるケースもあります

転職先を伝えることは避けてください。退職後も個人として関わり続けることは、記録に残らない支援になり、本人の不利益になります。