退職届に書く退職理由と、校長との面談で口頭で伝える退職理由は異なります。それぞれの場面に適した表現を例文とともに解説します。
退職届に書く退職理由
基本ルール:「一身上の都合」で十分
退職届(辞職願)に記載する退職理由は「一身上の都合により」の一文で問題ありません。具体的な理由を書く義務はなく、書かないのが一般的です。
公立教員の辞職願の文例
「このたび、一身上の都合により、令和○年3月31日をもちまして辞職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」
私立教員の退職届の文例
「このたび、一身上の都合により、令和○年3月31日をもちまして退職いたします。」
体調不良が理由の場合
体調不良の場合は、退職届にその旨を記載することがあります。公務災害や労災の申請を視野に入れる場合は、記載しておくことで証拠になります。
「このたび、体調不良により業務の継続が困難となりましたので、令和○年3月31日をもちまして退職いたします。」
校長面談で伝える退職理由
校長に退職の意思を伝える際は、退職届よりも具体的な説明を求められます。以下に、状況別の伝え方の例文を示します。
ケース1:転職・キャリアチェンジ
伝え方の例
「以前から関心のあった○○の分野に挑戦したいと考えております。教員として培った経験を活かしながら、新しいキャリアに取り組みたいと思い、退職を決意しました。」
ポイント
- 前向きな理由を中心に伝える
- 転職先の企業名は言わなくてよい(聞かれても「まだ調整中です」で可)
- 学校への不満は言わない
ケース2:体調不良・メンタルヘルス
伝え方の例
「体調を崩しており、医師からも休養が必要と言われております。回復に専念するため、退職させていただきたく存じます。」
ポイント
- 診断書がある場合は提示する
- 病名を詳しく説明する義務はない
- 「休職ではなく退職」の意思が固いことを明確にする
ケース3:家庭の事情(介護・育児・配偶者の転勤)
伝え方の例(介護)
「親の介護が必要な状況になり、現在の勤務を続けることが困難になりました。介護と両立できる働き方を模索するため、退職を決意いたしました。」
伝え方の例(配偶者の転勤)
「配偶者の転勤に伴い、○月に○○県に転居することになりました。通勤が困難になるため、退職させていただきたく存じます。」
ポイント
- 家庭の事情は学校側も理解を示しやすい理由
- 詳細を話す必要はない(「家庭の事情で」だけでも可)
ケース4:長時間労働・部活動の負担
伝え方の例
「自身の今後のキャリアについて考えた結果、異なる環境で経験を積みたいと思うようになりました。」
ポイント
- 「部活が大変だから」「残業が多いから」とは直接言わない
- 不満を理由にすると引き止めの材料にされる(「部活の負担を減らすから」等)
- あくまで前向きな表現で伝える
ケース5:人間関係(パワハラ含む)
伝え方の例
「一身上の都合により退職を決意いたしました。詳細については控えさせていただきますが、退職の意思は固いです。」
ポイント
- パワハラが理由でも、校長面談で詳細を話す義務はない
- 特にパワハラの加害者が校長本人の場合は、詳細を話すべきではない
- 証拠は別途保全しておき、必要に応じて教育委員会や弁護士に提出する
「嘘の退職理由」は問題あるか
退職理由に嘘をつくことに法的な問題はありません。退職届に「一身上の都合」と書くこと自体が、具体的な理由を開示しないことを意味しています。
ただし、以下のケースでは注意が必要です。
- 公立教員が虚偽の理由で病気休暇を取得しながら退職する場合: 懲戒処分の対象になり得る
- 退職金の加算を目的として虚偽の理由を申告する場合: 不正受給にあたる可能性
退職理由を聞かれたくない場合
校長が退職理由をしつこく聞いてくる場合の対処法です。
- 1 「一身上の都合としか申し上げられません」と繰り返す
- 2 「退職届に記載のとおりです」と回答する
- 3 それでも追及される場合は「退職理由を開示する法的義務はないと認識しております」と伝える
退職理由を詳細に説明することは義務ではありません。退職届を提出し、引き継ぎを誠実に行うことが最も重要です。