生活保護のケースワーカー、福祉の窓口、児童福祉司など、自治体に採用されて働く場合、退職の仕組みが民間と違います。
民間の「2週間で辞められる」は当てはまらない
民間企業の退職でよく引用される民法627条1項は、雇用契約についての規定です。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
公務員と行政庁の関係は雇用契約ではなく任用という行政上の関係とされているため、この条文がそのまま適用されるわけではありません。
出典: 民法627条1項
辞職は任命権者の承認で効力が生じる
公務員の退職は法律上「辞職」と呼ばれ、提出する書類は「辞職願」が正式な名称です。辞職は任命権者の承認によって効力が生じます。
とはいえ、辞職の意思を示している職員を無期限に拘束することはできません。正当な理由なく長期間にわたって承認を拒み続けることは、権利の濫用と評価され得ます。
守秘義務は退職後も続く
地方公務員法34条1項は次のように定めています。
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
出典: 地方公務員法34条1項
社会福祉士及び介護福祉士法46条・精神保健福祉士法40条の守秘義務に加えて、地方公務員としての守秘義務も重ねてかかります。
生活保護の受給者の情報、児童相談所で扱ったケースの内容などは、退職後も一切話すことができません。
在職中の営利企業への従事
地方公務員法38条1項は、職員が任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員を兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業や事務に従事したりしてはならないと定めています。
在職中に転職先で働き始めることはできません。
出典: 地方公務員法38条1項
失業保険が原則として受けられない
一般に、常勤の地方公務員は雇用保険の被保険者とされていません。そのため退職しても失業保険(基本手当)を受けられないのが通常です。
代わりに、退職手当の額が失業保険相当額に満たない場合に差額が支給される制度が条例で設けられていることがあります。該当するかどうかは人事担当または勤務先の条例を確認してください。
この点を知らずに退職すると、資金計画が狂います。
退職手当
退職手当は勤務先の自治体の条例で定められています。全国一律ではありません。人事担当に見込額を確認してください。
健康保険と年金
在職中は共済組合に加入しています。退職後は次のいずれかを選びます。
- 共済組合の任意継続(期限があります。共済組合に確認してください)
- 国民健康保険
- 家族の被扶養者になる
- 転職先の健康保険
年金は、次の就職まで期間が空く場合、国民年金への切り替えが必要です。
会計年度任用職員の場合
会計年度任用職員として働いている場合、常勤職員とは制度が異なります。
- 雇用保険に加入している場合があります
- 任期の定めがあります
自分がどの区分の職員なのかを、人事担当に確認してください。給与明細の控除欄でも判断の材料が得られます。
進め方
- 1 直属の上司に退職の意思を口頭で伝える
- 2 人事担当と退職日と手続きを確認する
- 3 辞職願を提出する
- 4 発令を待つ
- 5 貸与品の返納、書類の受け取り
年度末が区切りになりやすいため、年度末退職を考えるなら前年の秋から冬に伝えると余裕が生まれます。