船員の有給休暇は労働基準法ではなく船員法が定めており、日数も退職時の扱いも陸上とは違います。
付与の要件(船員法74条1項)
船舶所有者は、船員が同一の事業に属する船舶において初めて六箇月間連続して勤務(船舶のぎ装又は修繕中の勤務を含む。以下同じ。)に従事したときは、その六箇月の経過後一年以内にその船員に次条第一項又は第二項の規定による日数の有給休暇を与えなければならない。
出典: 船員法74条1項
日数(船員法75条)
前条第一項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務六箇月について十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに五日を加える。
つまり、6か月で15日、以降3か月ごとに5日ずつ加算されます。
同条2項は、沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で国内各港間のみを航海するものに乗り組む船員について、6か月について10日、3か月を増すごとに3日と定めています。
同条3項は、74条2項による場合(6か月の有給休暇に係る勤務の後さらに1年連続勤務したとき)の日数を、1年について25日、3か月を増すごとに5日と定めています。
労働基準法39条の年次有給休暇(6か月で10日)とは日数が異なります。自分がどの区分にあたるかを確認してください。
出典: 船員法75条
与え方(船員法77条)
有給休暇を与うべき時期及び場所については、船舶所有者と船員との協議による。
労働基準法のような時季指定権・時季変更権という構成ではなく、協議によることとされています。
同条2項により、労働協約の定めるところにより期間を分けて与えることもできます。
出典: 船員法77条
退職時の未消化分は支払われる
ここが陸上の労働者と最も違う点です。
船員法78条2項は次のように定めています。
船舶所有者は、有給休暇を請求することができる船員が有給休暇を与えられる前に解雇され、又は退職したときは、その者に与うべき有給休暇の日数に応じ前項の給料、手当及び食費を支払わなければならない。
つまり、退職時に残っている有給休暇の日数に応じた給料等の支払いが、法律上の義務として定められています。
労働基準法には、退職時の未消化の年次有給休暇について買い上げを義務づける規定はありません。船員法にはあります。
出典: 船員法78条2項
有給休暇中の支払い(同条1項)
船舶所有者は、有給休暇中船員に給料並びに国土交通省令の定める手当及び食費を支払わなければならない。
給料だけでなく、手当と食費も対象です。
出典: 船員法78条1項
退職前に確認すること
- 自分の有給休暇の残日数
- どの区分(外航・内航、航行区域)にあたるか
- 未消化分の支払いがどう計算されるか
78条2項の支払いを受けられることを知らずに退職する人がいます。会社に確認してください。
支払われない場合
船員法に関する監督は国土交通省(地方運輸局等)が行います。労働基準監督署ではなく、地方運輸局の船員労務官に相談してください。