船員が辞めるときの手続きは、船員法が定めています。陸上の「2週間前に申し出る」とは異なります。

期間の定めのない雇入契約

船員法42条は次のように定めています。

期間の定のない雇入契約は、船舶所有者又は船員が二十四時間以上の期間を定めて書面で解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に終了する。

ポイントは3つあります。

  1. 1 書面で申し入れる必要がある(口頭では効力が生じません)
  2. 2 24時間以上の期間を定める(「○月○日をもって解除する」という形)
  3. 3 その期間が満了した時に終了する

民法627条1項の「2週間」ではありません

出典: 船員法42条

ただし航海中の扱いには注意

条文上は24時間以上の期間を定めれば足りますが、航海の途中で船を降りることが実際にできるかは別の問題です。船は港にいなければ下船できません。

現実には、次のような流れになります。

  • 次の入港のタイミングを見て解除の時期を決める
  • 会社と協議して下船の港と時期を調整する

書面での申入れは自分の権利ですが、実務上は事前の相談から始めるほうが混乱がありません

船員から解除できる場合(船員法41条1項)

期間の定めがある雇入契約であっても、次の場合には船員から解除できます。

一 船舶が雇入契約の成立の時における国籍を失つたとき。

二 雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。

三 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

四 船員が国土交通省令の定めるところにより教育を受けようとするとき。

2号は重要です。契約で示された条件と実際が著しく違う場合、契約を解除できます。

出典: 船員法41条1項

外国の港から帰ってきた後(同条2項)

船舶が外国の港からの航海を終了した場合において、その船舶に乗り組む船員が、二十四時間以上の期間を定めて書面で雇入契約の解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に、その者の雇入契約は、終了する。

外航船に乗っている場合、航海を終えて帰国した後にこの規定を使えます

出典: 船員法41条2項

後任を提供したとき(同条3項)

海員は、船長の適当と認める自己の後任者を提供したときは、雇入契約を解除することができる。

自分で後任を用意した場合の規定です。ただし「船長の適当と認める」という条件があります。

出典: 船員法41条3項

書面はどう書くか

船員法42条は「書面で」と定めているだけで、様式は決まっていません。次の要素を入れてください

  • 雇入契約を解除する意思
  • 解除の効力が生じる日(24時間以上先の日)
  • 提出日
  • 所属する船舶名と氏名
  • 宛名(船舶所有者)

控えを必ず取ってください。提出した日付も記録します。

賠償予定の禁止

船員法33条は次のように定めています。

船舶所有者は、雇入契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法16条と同趣旨の規定が、船員法にも置かれています。「途中で辞めたら○万円」という取り決めは、この規定に触れる可能性があります。

出典: 船員法33条

相談先

  • 地方運輸局の船員労務官
  • 交通政策審議会や国土交通省の船員に関する相談窓口