船員の退職は、船を降りるタイミングと切り離せません。
法律上の期間
船員法42条により、期間の定めのない雇入契約は、24時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをしたとき、その期間が満了した時に終了します。
出典: 船員法42条
条文上の期間は短いのですが、実務では別の制約があります。
船は港にいなければ降りられない
航海中に契約が終了しても、その場で下船できるわけではありません。次の入港まで乗船が続くのが現実です。
そのため、次の順序で進めるのが現実的です。
- 1 会社(海務担当・人事)に退職の意向を伝える
- 2 下船の港と時期を協議する
- 3 交代の要員の手配を待つ
- 4 下船・書面での解除の手続き
配乗の都合
船は法令上必要な資格者を乗せて運航しています。自分が抜けると代わりの資格者が必要になります。
このため、会社から交代要員が手配できるまでの猶予を求められることがあります。
要員の確保は会社の責任ですが、船を降りられるタイミングは物理的に限られます。この点は陸上の仕事と大きく違います。
契約期間がある場合
期間の定めのある雇入契約であれば、原則として期間の満了によって終了します。期間の途中で解除できるのは、船員法41条1項が定める場合(船舶が国籍を失った、労働条件と事実が著しく相違する、負傷・疾病で職務に堪えない、教育を受けようとするとき)です。
次の契約更新のタイミングを退職の区切りにするのが、最も混乱の少ない方法です。
外航船の場合
船員法41条2項により、外国の港からの航海を終了した場合、24時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをすれば、その期間の満了時に雇入契約が終了します。
帰国後がひとつの区切りになります。
出典: 船員法41条2項
就業規則や労働協約
会社によっては、就業規則や労働協約で申し出の時期が定められていることがあります。確認してください。
誰に、どう伝えるか
船内では船長に、会社では海務担当・人事に伝えることになります。順序は会社の慣行によります。
- 乗船中であれば、まず船長に相談する
- 下船中・休暇中であれば、会社の担当に連絡する
書面での解除の申入れとは別に、口頭での相談から始めるほうが実務は進みやすくなります。
記録を残す
いつ、誰に、どう伝えたかを記録してください。最終的には船員法42条に基づく書面を提出し、控えを保管してください。
体調が理由の場合
船員法41条1項3号は、負傷又は疾病のため職務に堪えないときに船員が雇入契約を解除できると定めています。
この場合、船員法47条により送還の対象になり得ます(職務外の負傷・疾病について故意または重大な過失があった場合を除く)。
診断書を用意してください。