退職理由は、伝える相手によって求められる内容が違います。
会社に伝えるとき
「一身上の都合により」で足ります。詳しい事情を説明する義務はありません。
- 「一身上の都合により、退職させていただきたく思います」
- 「よく考えた結果です。ご理解いただければ幸いです」
体調が理由の場合は、診断書を示すと話が進みやすくなります。
船員法上の事由を使う場合は別
ただし、次の場合は理由を明示することに意味があります。
労働条件と事実が著しく相違する(船員法41条1項2号)
この事由で解除する場合、書面に相違の内容を具体的に記載してください。船員法47条1項4号により送還の対象にもなり得ます。
負傷・疾病のため職務に堪えない(同項3号)
診断書を添えてください。同じく送還の対象になり得ます(職務外の負傷・疾病について故意または重大な過失があった場合を除く)。
これらの事由は、送還や手当の扱いに影響します。単に「一身上の都合」と書くと、受けられるはずの扱いを失う可能性があります。
自分のケースがどれに当たるかを、地方運輸局の船員労務官に確認してから書面を作るのが確実です。
転職の面接で説明するとき
面接では、退職理由から「次の職場で何をしたいか」につながる説明が求められます。
家庭を理由にする場合
まったく後ろ向きではありません。長期乗船と家庭の両立は、船員が陸に上がる最も一般的な理由です。
- 「家族と生活する時間を確保しながら、海事の経験を活かしたい」
海運業界の陸上職であれば、面接官もこの事情を理解しています。
経験を活かす方向で説明する
- 「機関の保守の経験を、陸上の設備管理で活かしたい」
- 「運航の現場を知る立場から、管理側に関わりたい」
前職の批判は避けたほうが無難です。
体調が理由の場合
現在は問題なく働ける状態であることを説明できるようにしておいてください。
厚生労働省は採用選考にあたって、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を採否の判断基準としないよう求めています。答えたくない質問に答えを強いられる筋合いはありません。
乗船履歴を示す
面接では、乗船履歴が最も具体的な説明の材料になります。
- 船種、総トン数、航行区域
- 職名と乗船期間
- 海技免状の種類
船員手帳を受け取ったら、内容を控えておいてください。