乗船中に「もう続けられない」と感じたときの考え方を整理します。
航海中に自分の判断で降りることはできない
船は港にいなければ下船できません。これは制度の問題ではなく物理的な制約です。
まずは船長に申し出てください。
体調が理由の場合
船員法41条1項3号は、船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないときに雇入契約を解除できると定めています。
出典: 船員法41条1項3号
乗船中に体調を崩した場合の流れは、おおむね次のようになります。
- 1 船長に申し出る
- 2 船内での対応(応急処置、陸上との連絡)
- 3 必要に応じて次港での受診・下船
- 4 診断書を得る
- 5 雇入契約の解除の手続き
我慢して隠すことが最も危険です。船内には医療機関がありません。
この事由による解除は、船員法47条により送還の対象になり得ます(職務外の負傷・疾病について故意または重大な過失があった場合を除く)。
労働条件が違う場合
船員法41条1項2号は、雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するときに船員から解除できると定めています。
船員法32条により交付された書面と、実際の条件を照らし合わせてください。相違を記録し、会社に書面で申し入れてください。
この場合も送還の対象になり得ます(船員法47条1項4号)。
出典: 船員法41条1項2号、47条1項4号
外航船の場合
船員法41条2項により、外国の港からの航海を終了した場合、24時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをすれば、その期間の満了時に契約が終了します。
帰国が区切りになります。
ハラスメントがある場合
船内は逃げ場のない環境です。
- 日時、場所、発言や行為の内容を記録する
- その場にいた人を記録する
- 可能であれば船長または陸上の担当に報告する
船長に相談できない事情がある場合は、陸上の会社の窓口や地方運輸局の船員労務官に連絡してください。
下船後にすること
- 船員手帳の返却を受ける(船員法50条2項により乗船中は船長が保管)
- 海技免状、訓練修了証の返却を受ける
- 私物をすべて持ち帰る
- 書面での解除の申入れ(船員法42条)
- 未消化の有給休暇の支払いの確認(船員法78条2項)
無断で行かなくなるのは避ける
下船後に連絡を絶つと、船員手帳や免状の返却、書類の受け取りが滞ります。
さらに、次の乗船に必要な書類が手元に揃わなくなります。
短くても、退職の意思を書面で伝えてください。
相談先
- 船内では船長
- 会社の海務・人事担当
- 地方運輸局の船員労務官(労働基準監督署ではありません)