退職を伝えると、慰留されることがあります。
よくある慰留
- 「交代の要員が確保できるまで待ってほしい」
- 「次の航海が終わるまで」という期間の延長
- 昇進、給料の増額
- 乗船期間の短縮、航路の変更の提案
- 陸上職への異動の提案
判断の軸
提案を受けるかどうかは、辞めたい理由がその提案で解決するかで決まります。
- 家族と離れることが理由 → 乗船期間が短くなるのか、内航に変われるのか
- 船内の人間関係が理由 → 配乗が変われば解決するのか
- 体調が理由 → 環境を変えて回復する見込みがあるのか
- 海の仕事そのものが合わない → 陸上職の提案なら解決し得る
陸上職への異動の提案は、検討する価値があります。会社に残りつつ生活を変えられる可能性があるためです。
条件面の改善は口頭ではなく書面で確認してください。
「交代要員が確保できるまで」への向き合い方
配乗の都合は現実的な制約です。船は法令上必要な資格者を乗せて運航しています。
ただし、期限のない引き延ばしに応じる必要はありません。
船員法42条により、期間の定めのない雇入契約は、24時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをしたとき、その期間が満了した時に終了します。
出典: 船員法42条
協議は続けつつ、話が進まない場合は書面で申し入れるという手順を意識してください。
断る場合
理由を細かく説明する必要はありません。
- 「よく考えた結果です。退職の意思は変わりません」
- 「一身上の都合ですので、ご理解ください」
話が進まないとき
- 1 船員法42条に基づく書面を提出し、控えを保管する
- 2 いつ、誰に、何を伝えたかを記録する
- 3 地方運輸局の船員労務官に相談する
相談先は労働基準監督署ではありません。船員法に関する監督は国土交通省(地方運輸局等)が行います。
応じてもらえないとき
- 書面を郵送し、記録の残る方法(内容証明郵便など)を使う
- やり取りを記録する
- 地方運輸局の船員労務官に相談する
退職を認めない、船員手帳や海技免状を返さない、といった対応は認められません。
未消化の有給休暇
船員法78条2項により、退職時に残っている有給休暇の日数に応じた給料・手当・食費の支払いが義務づけられています。
慰留の話とは別に、この支払いは受けられます。会社に確認してください。