退職を考える理由として、「自分の職種が理解されていない」を挙げる人がいます。この感覚には構造的な背景があります。
「リハビリ職」とひとくくりにされる
法律上、理学療法・作業療法・言語聴覚療法は定義が異なります。
- 理学療法: 主として基本的動作能力の回復(身体に障害のある者)
- 作業療法: 主として応用的動作能力又は社会的適応能力の回復(身体又は精神に障害のある者)
- 言語聴覚療法: 音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の機能の維持向上
出典: 理学療法士及び作業療法士法2条、言語聴覚士法2条
にもかかわらず、職場では「リハビリ」として同じ扱いになることがあります。
起きやすいこと
作業療法士
- 上肢の訓練だけを期待される
- 精神科領域の作業療法が理解されない
- 「PTと何が違うのか」と問われ続ける
- ADL訓練の役割分担が曖昧なまま進む
言語聴覚士
- 人数が少なく、部門内で孤立しやすい
- 摂食嚥下の業務が中心になり、言語やコミュニケーションの領域に時間を割けない
- 検査機器や環境が整っていない
- 他職種に業務の内容が伝わっていない
転職の前に確認できること
役割分担を言語化する
自分の職種が何を担うのかを、法律上の定義に沿って説明する機会を作れないかを考えてください。
カンファレンスや部門の会議で、評価の視点と介入の目的を共有すると、認識が変わることがあります。
目標の共有
患者ごとの目標設定を多職種で共有できているかを確認してください。目標が共有されていないと、それぞれの職種が何をしているのかが見えません。
上司に伝える
「専門性が活かせていない」と感じていることを、具体的に伝えてください。
- どういう介入をしたいのか
- 何が障害になっているのか(時間、環境、人員、理解)
曖昧な不満のままでは変わりません。
それでも変わらない場合
職場によって、職種への理解も体制もまったく違います。
- 作業療法士が精神科領域で働きたいなら、その領域のある施設へ
- 言語聴覚士が言語・コミュニケーション領域を深めたいなら、その体制のある施設へ
環境を変えることは、専門性を諦めることではありません。
転職先で確認すべきこと
- 職種ごとの人数(言語聴覚士が1人だけの職場か)
- 担当する疾患・領域の内訳
- 1日の単位数の目安
- 検査機器・訓練環境
- カンファレンスの実施状況と、リハ職の関与
- 研修・学会参加の支援
辞める理由になった項目は必ず質問してください。
相談先
- 職能団体(都道府県の作業療法士会、言語聴覚士会)
- 養成校のつながり
- 同職種の勉強会
同じ職種の人と話せる場を持つことが、判断の材料になります。