退職理由は、伝える相手によって求められる内容が違います。
職場で伝えるとき
「一身上の都合により」で足ります。詳しい事情を説明する義務はありません。
理由を細かく話すと、その一つひとつに対して「担当を変えれば解決できる」といった引き止めの材料を与えることになります。意思が固まっているなら簡潔に伝えてください。
- 「一身上の都合により、退職させていただきたく思います」
- 「よく考えた結果です。ご理解いただければ幸いです」
体調が理由の場合は、診断書を示すと話が進みやすくなります。
退職届に書くとき
自己都合であれば「一身上の都合により」と書きます。
会社都合の場合は書き方が変わります。病院の閉鎖やリハビリテーション部門の縮小による退職で「一身上の都合」と書くと、自己都合の扱いになる可能性があります。離職理由は失業保険の給付日数や給付制限に影響するため、離職票の離職理由欄を必ず確認してください。
転職の面接で説明するとき
面接では、退職理由から「次の職場で何をしたいか」につながる説明が求められます。
守秘義務があるため、特定の患者の症例には触れられません。担当した疾患の種類、単位数の規模、使用した評価法といった一般的な範囲で説明してください。
- 「精神科領域で作業療法の専門性を深めたい」
- 「摂食嚥下だけでなく、言語・コミュニケーション領域にも関わりたい」
- 「生活の場での介入に軸を移したい」
- 「小児・発達領域に関わりたい」
前職の批判は避けてください。
専門性を理由にする場合
「今の職場では担当できる領域が限られている」という理由は、転職先にとって納得しやすいものです。
ただし、転職先で何を担当できるのかを面接で確認してください。同じ不満を繰り返すことになります。
- 担当する疾患・領域の内訳
- 職種ごとの人数
- 検査機器・訓練環境
- 研修・学会参加の支援
単位数を理由にする場合
「記録や評価に時間を確保できる環境で働きたい」という表現ができます。
単位数そのものへの不満をそのまま述べるより、質を担保したいという文脈で話すほうが伝わります。
体調が理由の場合
現在は問題なく働ける状態であることを説明できるようにしておいてください。腰痛など業務に直結する不調がある場合は、正直に伝えたほうが入職後の食い違いを防げます。
厚生労働省は採用選考にあたって、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を採否の判断基準としないよう求めています。答えたくない質問に答えを強いられる筋合いはありません。
患者・家族に伝えるとき
いつ、どう伝えるかは上司と相談してから行ってください。