施術は継続して受けるものが多く、退職時の引き継ぎが患者の治療に直結します。
引き継ぎ書に書くこと
施術録に記録されている範囲で、次を整理します。
- 施術の経過と現在の状態
- 施術の内容と頻度
- 患者ごとの注意点(既往歴、痛みの出やすい動作など)
- 次回以降に予定していた内容
- 保険の適用状況と、支給申請に関する進捗
施術録に記録されていない情報が自分の記憶にしかない場合は、退職前に施術録に追記してください。
患者情報は持ち出せない
- 施術録、その写し
- 患者名簿、連絡先
- 保険請求に関する書類
柔道整復師法17条の2およびあはき法7条の2は、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならず、施術者でなくなった後も同様と定めています。
「自分が担当してきた患者だから」という感覚があっても、業務として得た情報は院の管理下にあります。自分のスマートフォンに保存した患者の連絡先も整理してください。
患者への挨拶
患者に直接伝えてよいかは、院の方針によります。勝手に連絡すると問題になることがあるため、院長に確認してから行ってください。
認められる場合でも、次のような線引きが求められるのが通常です。
- 退職することと、後任の施術者を伝える
- 開業先や転職先を営業目的で伝えない
独立して開業する場合、前の院の患者に自分の院へ来るよう働きかけることは、競業避止や患者の奪取をめぐる争いの原因になります。
保険請求の途中のもの
療養費の支給申請で処理が途中のものがある場合、必ず引き継いでください。放置すると患者に不利益が生じ、院にも迷惑がかかります。
返却するもの
- 制服、名札
- 貸与された器具
- 院の鍵
- 健康保険証(退職日まで)
- 免許証の原本(院が預かっている場合)
受け取るもの
- 離職票(雇用保険に加入していた場合)
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳(会社が預かっている場合)
- 源泉徴収票
- 免許証の原本
- 退職証明書(必要な場合)
引き継ぎが終わらないと言われたら
引き継ぎが終わらないことを理由に退職を拒むことはできません。期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条1項により解約の申入れから2週間の経過で退職できます。
引き継ぎ書を作成し、提出した記録を残しておいてください。