退職にあたって最初に押さえておくべきなのが、守秘義務が退職後も続くという点です。
柔道整復師法17条の2
柔道整復師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。柔道整復師でなくなつた後においても、同様とする。
出典: 柔道整復師法17条の2
あはき法7条の2
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師についても同じ定めがあります。
施術者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。施術者でなくなつた後においても、同様とする。
出典: あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律7条の2
条文にはっきり書かれている
どちらの法律も「でなくなった後においても、同様とする」と明記しています。退職しても、資格を返上しても、守秘義務は消えません。
実務で気をつけること
患者情報を持ち出さない
- 施術録(カルテ)、その写し
- 患者名簿、連絡先のリスト
- 保険請求に関する書類
自分のスマートフォンに保存した患者の連絡先も、業務を通じて得た情報です。退職前に整理してください。
開業するときも同じ
独立して自分の院を開くとき、前の院の患者に連絡を取りたくなることがあります。しかし、業務上知り得た患者の情報を使うことは守秘義務の問題になります。
さらに、患者を引き抜く行為は、競業避止や不正競争をめぐる争いの原因にもなります。
転職の面接
前職の経験を説明する際、具体的な患者の症例や個人が特定できる情報に触れることはできません。
説明できるのは、扱った症状の種類、施術の技術、患者数の規模といった一般的な範囲です。
施術録の扱い
施術録は院が保管するものです。退職時に持ち出すことはできません。
自分が担当した患者の情報で、施術録に記録されていないものが自分の記憶にしかない場合は、退職前に施術録に追記してください。後任が困らないための引き継ぎです。
退職前に確認すること
- 院で定められている退職時の誓約書の内容
- 患者情報の取り扱いに関する規程
- 競業避止の条項の有無
署名した書面の控えを持っていない場合は、退職前にコピーをもらってください。