患者の引き継ぎとは別に、院の運営に関わる業務の引き継ぎが必要です。少人数の院ほど、一人が抱えている業務が多くなります。

保険請求(レセプト)の引き継ぎ

月初の療養費の支給申請は、期限があるため引き継ぎの優先度が高い業務です。

  • 申請の手順と使用しているソフト
  • 保険者ごとの提出先と提出方法
  • 返戻があったものの処理状況
  • 未請求のまま残っているもの

処理が途中のものを残したまま退職すると、患者にも院にも不利益が生じます。自分が担当していた分は、退職日までに処理するか、状況を書面で引き継いでください。

発注・在庫の引き継ぎ

  • 取引先の一覧と担当者の連絡先
  • 発注の周期と方法
  • 現在の在庫の状況
  • 単価や取引条件

自分の頭の中にしかない情報が最も引き継がれにくい部分です。「いつも電話で頼んでいる」といった手順も書き出してください。

機器の管理

  • 使用している治療機器の一覧
  • メンテナンスの時期と業者
  • 消耗品の交換周期
  • 取扱説明書や保証書の保管場所

次の点検がいつなのかを引き継いでおくと、後任が困りません

予約・受付の運用

  • 予約システムの操作
  • 受付の手順
  • 会計と釣銭の管理
  • 電話対応の取り決め

引き継ぎ書は書面で残す

口頭で伝えただけでは、後から確認できません。書面(またはデータ)で残し、渡した記録をとってください

「引き継ぎをしなかった」と言われる余地を減らす意味もあります。

患者情報の扱いに注意する

引き継ぎ書に患者の個人情報を含める場合、それは院内の書類として院に残すものです。自分の控えとして持ち帰ることはできません。

柔道整復師法17条の2およびあはき法7条の2により、業務上知り得た人の秘密を守る義務は、施術者でなくなった後も続きます

引き継ぎが終わらないと言われたら

引き継ぎが終わらないことを理由に退職を拒むことはできません。期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条1項により解約の申入れから2週間の経過で退職できます。

引き継ぎ書を作成し、提出した記録を残しておけば十分です。後任がまだ決まっていないことは院側の事情であり、退職を先延ばしにする理由にはなりません。

退職後に連絡が来たら

業務に関する問い合わせが来ることがあります。答えられる範囲で対応するかは自由ですが、患者の情報に関わることは、院の記録を見て対応してもらうよう案内してください