退職届ビルダー

引き止めで条件を提示されたとき

退職を申し出た後に、昇給や異動、業務量の調整を提示されることがあります。 問題は、その提示がどの程度確定したものなのかが その場ではわからないことです。感情ではなく、確認すべき項目を決めておけば判断できます。

このページは労働契約法8条労働基準法施行規則5条を前提に、実務上の確認の仕方を整理したものです。

労働条件の変更は合意による

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。 (労働契約法8条)

合意があれば変更できる、という規定です。裏を返せば、合意の内容がはっきりしていなければ、後から食い違います。 口頭でのやり取りは、その場では前向きに聞こえても、 何がどこまで決まったのかが残りません。

確認する5つ

1金額

「考慮する」「見直す」ではなく、いくらになるのかを確認します。基本給が上がるのか、手当が付くのか、一時金なのかで意味が変わります。

2時期

いつから適用されるのかを日付で確認します。ここがあいまいだと、次の評価期間や次年度まで先延ばしになることがあります。

3権限

その場にいる人が決められることなのかを確認します。直属の上司の一存では決められない事柄も多くあります。

4条件

達成目標や在籍期間などの条件が付いていないかを確認します。条件付きであれば、それも含めて判断材料になります。

5書面

書面にしてもらえるかを確認します。断られる場合、その提案がどの程度確定したものかを推し量る材料になります。

その場で答えを出す必要はありません。持ち帰って検討すると伝えて構いません。むしろ即答を求められる提案ほど、内容を確かめる価値があります。

辞めたい理由が解決するかで判断する

提示された条件が魅力的でも、辞めたい理由そのものが解決するとは限りません。 賃金が理由なら昇給で解決しますが、 労働時間や人間関係が理由なら、金額が上がっても状況は変わらないことがあります。

辞めたい理由提示で解決するか
給与・待遇金額と時期が確定すれば解決しうる
労働時間業務量が実際に減るかを確認する必要がある
人間関係異動が伴わなければ変わらないことが多い
仕事内容・将来性担当業務の変更が具体的に示されるかによる
会社の状況個人への提示では変わらない

退職届と退職願で扱いが変わる

提示された条件を検討する可能性があるなら、どちらを出すかを先に考えておく意味があります。 退職願は退職の申し入れなので、会社が承諾する前であれば撤回できる余地があります。 退職届は退職の意思を確定的に伝えるものとされ、撤回が認められにくくなります。

違いは退職届と退職願の違いに、撤回については退職届・退職願は撤回できる?にまとめています。

残ると決めた場合の備え

一度引き止めに応じたことで、退職の権利が制限されることはありません。 期間の定めのない雇用であれば、民法627条1項により いつでも解約の申入れができます。

ただし提示された条件が実行されなかった場合に備えて、 やり取りの記録は残しておいてください。 日付とやり取りの内容をメモしておくだけでも違います。 条件が実行されないまま時間が過ぎた場合、それ自体が次の判断材料になります。

辞めたい理由の中心を整理する

8問に答えると、悩みの中心がどこにあるか、いまの状況が制度上どう扱われうるかがわかります。提示された条件で解決するかの判断材料になります。

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よくある質問

引き止めで提示された条件は信用してよいですか?

内容によります。労働契約法8条は、労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができると定めています。合意があれば変更できるということですが、口頭でのやり取りが実際の労働条件として確定したかどうかは、後から争いになりやすい部分です。金額・時期・適用範囲を書面で確認しておくのが確実です。

何を確認すればよいですか?

5つあります。いくらになるのか(金額)、いつから適用されるのか(時期)、誰が決められることなのか(権限)、条件が付いていないか(達成目標など)、そして書面にしてもらえるかです。とくに時期があいまいなまま残ると、次の評価期間まで先延ばしになることがあります。

退職届を撤回することはできますか?

退職届と退職願では扱いが異なります。退職願は退職の申し入れなので、会社が承諾する前であれば撤回できる余地があります。退職届は退職の意思を確定的に伝えるものとされ、撤回が認められにくくなります。提示された条件を検討する可能性があるなら、どちらを出すかを含めて考えてください。

残ると決めた場合、また辞めにくくなりませんか?

法律上、一度引き止めに応じたことで退職の権利が制限されることはありません。期間の定めのない雇用であれば、民法627条1項により解約の申入れの日から2週間を経過することによって雇用は終了します。ただし提示された条件が実行されなかった場合に備えて、やり取りの記録は残しておいてください。

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