船内は逃げ場のない環境であり、心身への負担が蓄積しやすい職場です。
負担が蓄積しやすい構造
- 長期間、同じ人間関係の中で過ごす
- 家族と離れて生活する
- 陸上との連絡が制限される(船や航路による)
- 当直で睡眠が分断される
- 体調を崩しても医療機関にすぐ行けない
- 辞めたいと思っても、その場で船を降りられない
これらは個人の弱さの問題ではなく、船員労働の特殊性から来る負担です。
受診の目安
次のような状態が2週間以上続いている場合は、受診を検討してください。
- 眠れない、当直明けも休めない
- 食欲がない、体重が変動した
- 気分の落ち込みが続く
- 些細なことで感情が動く、または何も感じない
- 乗船前に強い不安を感じる
- 以前は楽しめたことが楽しめない
下船した際に必ず受診してください。乗船中に不調が出た場合は、船長に申し出てください。
船員法41条1項3号
船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
この場合、船員から雇入契約を解除することができます。
診断書を用意してください。この事由による解除は、船員法47条により送還の対象にもなり得ます(職務外の負傷・疾病について故意または重大な過失があった場合を除く)。
出典: 船員法41条1項3号、47条1項3号
解雇制限
船員法44条の2は次のように定めています。
船舶所有者は、船員が職務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため作業に従事しない期間及びその後三十日間並びに女子の船員が第八十七条第一項又は第二項の規定によつて作業に従事しない期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、療養のため作業に従事しない期間が三年を超えた場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
職務上の負傷・疾病で療養している期間とその後30日間は解雇されません。
出典: 船員法44条の2
船員保険
船員は健康保険ではなく船員保険に加入しているのが通常です。
船員保険には傷病手当金に相当する給付があります。給付の内容と要件は船員保険の制度によるため、全国健康保険協会(船員保険部)に確認してください。
陸上の健康保険とは制度が異なるため、健康保険の情報をそのまま当てはめないでください。
相談先
- 船内では船長
- 会社の海務・人事担当
- 地方運輸局の船員労務官
- 全国健康保険協会 船員保険部(給付について)
- 各都道府県の精神保健福祉センター(下船中)
家族との関係
長期乗船は家族との関係にも影響します。家庭の事情を理由に陸上職を選ぶことは、後ろ向きな判断ではありません。
海運会社の陸上職、港湾関連、造船関連など、経験を活かせる道があります。