「事務職しかしてないから転職できない」「スキルがない」――こうした不安は、事務職の方が退職を躊躇する大きな理由の一つです。しかし、その不安は思い込みかもしれません。

「スキルがない」は思い込み

事務職で身についているスキルの棚卸しをしてみましょう。

Excel・スプレッドシート操作

VLOOKUP、ピボットテーブル、複数シートの集計、条件付き書式などの関数操作はパワフルなスキルです。実は、これらのスキルは多くの業種で重宝されます。

営業アシスタントの経験がある場合、データベース設計や顧客管理の論理的思考も身についています。

スケジュール管理・マルチタスク

複数の業務の優先順位をつけて進行する能力、締切管理、進捗報告――これは「プロジェクト管理」という職種に直結するスキルです。

電話・メール対応

言葉遣い、ビジネスマナー、クレーム対応、相手の要望を正確に理解する能力。これは営業職でも企画職でもカスタマーサポートでも活かせます。

正確な書類作成

データの誤りなく処理する、様式を守った文書を作成する、チェックリストに沿って確認するという細心の注意力は、医療事務、法務、監査、品質管理など多くの業界で必須です。

社内調整力

部門間の調整、上長への報告、イベント企画などを通じて、複数のステークホルダーをマネジメントする能力です。これは企画職やプロジェクトマネジメントの基礎になります。

これらは「ポータブルスキル」

上記のスキルは、特定の業種に限定されない「ポータブルスキル」と呼ばれます。どの業界に転職しても通用するスキルです。

逆に「〇〇会社の独自システムの操作」という企業固有スキルは転職時に価値が落ちます。ポータブルスキルの方が、転職市場では重視されるのです。

自己分析の方法

不安を払拭するために、自分が何を身につけたのか可視化しましょう。

1日の業務を朝から晩まで書き出します。「9時メールチェック」「10時会議の資料作成」「11時請求書処理」といったように。

次に、それぞれの業務に含まれるスキルを明記します。「資料作成→PowerPoint操作+論理的思考」「請求書処理→数字の正確性+システム操作」といった具合です。

累積すると、意外なほど多くのスキルが見つかります。

未経験転職を支援する制度の活用

スキルが足りないと感じる場合は、公的な支援を活用しましょう。

ハローワークの職業訓練(無料)は、基本情報技術者試験対策、Webデザイン、プログラミングなど、様々なコースを無料で提供しています。退職後に受講すれば、失業保険の給付制限期間もなくなります。

教育訓練給付金制度により、対象講座の費用の20~70%が給付されます。事務職からのキャリアチェンジを支援する制度として活用できます。

転職先の選び方

事務職の経験が活かせる職種を選ぶことで、「未経験」ではなく「関連職からのチェンジ」という扱いになります。

営業アシスタント→営業職、事務→企画職、一般事務→人事事務、といった異動が現実的です。

まとめ

事務職に「スキルがない」ことはありません。あるのは「市場価値をどう伝えるか」という課題だけです。転職エージェントや職業訓練を活用して、自分のスキルを言語化し、次のステップに進みましょう。