当直や待機のある職場では、手当と実労働時間の関係が問題になりやすい構造があります。
当直手当と割増賃金は別
「当直手当」として一定額が支払われていても、呼び出されて実際に業務を行った時間については、労働時間として賃金が発生します。
深夜帯(午後10時から午前5時)に業務を行った場合、労働基準法37条4項により、通常の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金の対象です。
当直手当が支払われているからといって、実労働時間分の賃金が不要になるわけではありません。
出典: 労働基準法37条4項
問題になりやすい時間
- 始業前の機器立ち上げ、精度管理
- 終業後の片づけ、記録の作成
- 休憩中の緊急検査への対応
- 当直中の呼び出し対応
- オンコールで呼び出されて出勤した時間
- 時間外の勉強会、症例検討会
- 学会発表の準備(業務として指示された場合)
請求するために必要な記録
- 出退勤の記録(自分で付けたメモでも意味があります)
- 当直・待機での呼び出しの日時と対応時間
- 始業前・終業後の作業内容と時間
- 休憩を取れなかった日
- 勉強会の日時
- 給与明細
記録は退職前に手元にコピーしておいてください。ただし、患者情報を含む資料の持ち出しは守秘義務の問題になります。自分の労働時間が分かる部分に限って控えてください。
呼び出しの内容を記録する場合も、患者が特定できない書き方にしてください。
時効
賃金の消滅時効は、労働基準法115条により当分の間3年です(退職手当は5年)。古い分から順に時効になっていくため、心当たりがあるなら早めに動いてください。
出典: 労働基準法115条・附則143条3項
固定残業代が設定されている場合
給与に固定残業代(みなし残業代)が含まれている場合、次を確認してください。
- 固定残業代が何時間分に相当するのか、就業規則や雇用契約書に明示されているか
- 基本給と固定残業代が明確に区分されているか
- 相当する時間を超えた分は、別に支払われているか
超えた分の支払いがなければ、未払いになっている可能性があります。
進め方
- 1 記録を整理し、未払いと考える金額を計算する
- 2 施設に書面で請求する
- 3 応じない場合、労働基準監督署に申告する、または弁護士に相談する
在職中でも退職後でも請求できます。
相談先
- 労働基準監督署
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)
- 法テラス