GWが終わればお盆が来る。お盆が終われば年末が来る。いつになったら辞められるのか。ホテル・旅館業界で働く多くの人が、この問い詰めを抱えています。

ホテル・旅館業界の「常に繁忙期」問題

ホテル・旅館業界には、実質的に「閑散期」がほぼありません:

時期理由
ゴールデンウィーク(4月下旬〜5月上旬)家族旅行のピーク
盆休み(8月中旬)帰省客・旅行
年末年始(12月下旬〜1月上旬)家族旅行・新年の宿泊
連休毎回が営業チャンス
インバウンド(春秋)外国人観光客が増加

そして、這些を除いた時期も、週末や観光シーズン、地域のイベント時期が繁忙期になります。

「繁忙期を避けていたら一生辞められない」

これが、あなたが認識すべき現実です。

ホテル・旅館は営利企業であり、繁忙期は最高の稼ぎ時です。繁忙期を避けたら、「どうぞ辞めてください」と言える時期は、実質的に存在しません。

つまり、繁忙期の直前でなければいいという観点で考えましょう:

  • 避けるべき:繁忙期の「1ヶ月前」の退職申し出
  • OKな判断:繁忙期の「終わった直後」の退職申し出

例えば、GWを避けるなら「4月中には申し出を完了する」という計画です。

法的な観点:繁忙期であっても退職の権利は制限されない

民法627条は明確です:

> 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

繁忙期だから退職が制限されるという法的根拠はありません。

仮に会社が「繁忙期は辞められない」と言ったとしても、それは会社の方針であり、法的な拘束力はないのです。

周囲への配慮と自分の人生のバランス

法的には可能でも、現実的には「周囲への配慮」という心理的な負担があります。その場合、次のような工夫をしましょう:

繁忙期後を退職日に設定する

  • GW終了後:5月中旬の退職
  • お盆終了後:8月下旬の退職
  • 正月明け:1月下旬の退職

つまり「繁忙期の終わった直後」に退職日を設定することで、周囲への配慮と自分の意思の両立が可能です。

代わりが見つかるまで待つ必要はない

「代わりを見つけてから辞めろ」と言う上司がいます。しかし、これは経営層の職務です。

  • 人員補充は会社の責任
  • 新人教育期間を設けるのは会社の責任
  • それでも不足するなら、一時的に外部スタッフを雇うのは会社の責任

あなたが「責任を感じて退職を先延ばし」することは、経営者の職務放棄をサポートすることになります。

「あなたが抜けた穴は、組織として埋めるもの」

これは経営の原則です。

ホテル・旅館は営利企業であり、スタッフの退職による穴は、当初から想定されている事象です。

  • 人員計画
  • 採用活動
  • 新人教育
  • 正社員と派遣の組み合わせ

こうした対策を打つのは、経営層の役目です。

退職を切り出す際の対話

周囲への配慮を示しながらも、退職の意思を明確にする方法:

「お忙しいところ大変恐れ入りますが、○月○日をもって退職させていただきたく存じます。繁忙期の直前ではなく、○○が終わった直後としました。引き継ぎは、この期間で最大限対応させていただきます。」

  • 配慮を示している(繁忙期を避けた)
  • 意思が明確(○月○日で決定)
  • 対話的である(引き継ぎの意思を示す)

精神的な余裕を作る

「繁忙期に迷惑をかける」という罪悪感は、企業文化によって植え付けられたものです。

  • あなたの人生設計
  • キャリアの方向性
  • 心身の健康

これらを守る決断は、「迷惑」ではなく「当然の権利」です。

繁忙期のホテル業界で「いつ辞めても迷惑」という状況は、構造的な問題です。その構造に合わせてあなたの人生を制限するのではなく、構造的な課題として認識した上で、あなたにとって最善のタイミングで決断してください。