今の現場が終わるのは半年後。でも体はもう限界だ。現場を途中で抜けていいのか――建設業の方がこんな悩みを抱えることは珍しくありません。
「現場が終わるまで辞められない」という思い込み
建設業の現場では、「現場が完了するまで絶対に抜けるな」という空気が存在します。施工管理技士も職人さんも、この慣習に縛られ、退職したくても言い出せない状況に陥ってしまいます。
しかし、法律上は――その思い込みは通用しません。
法的根拠:期間の定めのない雇用契約の場合
民法627条により、期間の定めのない雇用契約については、退職の意思表示から2週間で退職が成立します。工期に関わらず、あなたには退職する権利があります。
「現場の工期が終わるまで待って」というのは、会社の事情です。あなたの人生とあなたの体が優先されるべきです。
期間の定めのある雇用契約(現場ごとの契約)の場合
建設業では「この現場だけ」という期間限定の雇用契約を結ぶことがあります。この場合、民法628条が適用され、「やむを得ない事由」があれば解約可能です。
- 体調不良により業務継続が困難な場合
- 家庭の事情(親の介護・家族の入院など)
- パワハラやセクハラ
- 安全衛生法違反が常態化している
さらに、1年以上勤務した場合は労働基準法137条により、自由に退職できます。
現場を離れる際の引き継ぎ
退職が決まった場合、適切な引き継ぎが後任者と会社にとって重要です。以下の項目を整理しましょう。
施工管理の引き継ぎポイント - 工事の進捗状況と今後のスケジュール - 協力会社(下請け)の連絡先と契約状況 - 施工計画書・安全管理書類の保管場所 - 官公庁への届出状況
安全書類の整理 - 危険予知(KY)記録 - 安全日誌 - 現場巡視記録 - 労災事故報告書
引き継ぎは数日で完了できるものがほとんどです。「現場が回らなくなる」という懸念は、会社の準備不足の問題であり、あなたの責任ではありません。
「現場は人が入れ替わるもの」という現実
建設現場では常に人の出入りが発生しています。あなた1人が抜けても、現場は回り続けます。過去に退職した先輩たちの後で、工事は継続されてきたはずです。
あなたが「なくてはならない人」だと感じるのは、人手不足による過負荷の証拠です。その状態が「異常」なのであり、あなたが悪いわけではありません。
退職を決断する前に
体の声を聞いてください。痛みが続いている、眠れない、現場に行くのが怖い――そうした症状が出ているなら、それはあなたの体が発するSOS信号です。
工期と健康のどちらが大切かは明らかです。あなたが元気でいることが一番大切です。