公務員の職務経歴書が読まれない最大の理由は、書いてある内容が民間の採用担当者に伝わらないことです。能力の問題ではなく、翻訳の問題です。

なぜ伝わらないのか

公務員の職務経歴書によくあるのが、この書き方です。

市民税課において、賦課事務および収納事務に従事。窓口対応、電話対応、庶務事務を担当。

書いてあることは正確ですが、読んだ側には「何ができる人なのか」が分かりません。民間の採用担当者は行政の組織や事務分掌を知らないため、部署名と事務名だけでは判断できないのです。

言い換えの基本

行政の言葉を、民間で使われる言葉に置き換えます。

公務員の表現言い換えの例
賦課事務課税額の算定業務。年間◯件の処理
収納事務債権管理・回収業務
例規審査契約書・規程のリーガルチェック
予算要求・執行予算策定と執行管理(規模◯億円)
議会答弁の作成経営層向け説明資料の作成
補助金の交付事務審査・進捗管理・実績報告の確認
住民説明会の開催利害関係者への説明と合意形成
各課との調整部門横断のプロジェクト調整
監査対応内部統制対応・証跡の整備

ポイント

職名や事務名ではなく、「何をして、どうなったか」を書きます。

数値を入れる

民間の職務経歴書では、規模や量が判断材料になります。公務員の業務も、次のような数値に置き換えられます。

  • 担当した予算の規模
  • 処理した件数(申請、審査、相談など)
  • 対象となった人数・世帯数・事業者数
  • 関わった部署や外部機関の数
  • 短縮できた期間、削減できた工数

「窓口対応」ではなく「年間◯件の相談対応を行い、繁忙期は1日あたり◯件を処理」と書くと、業務量が伝わります。

守秘義務との兼ね合い

ここは注意が必要です。地方公務員法や国家公務員法の守秘義務は、退職後も続きます。

  • 書いてよい: 業務の種類、規模、自分の役割、一般に公開されている情報
  • 書いてはいけない: 個別の案件の内容、特定の個人や事業者が判別できる情報、非公開の内部情報

予算規模や事業の概要は、公表資料に載っているものであれば問題になりにくいものです。判断に迷う場合は、公開されている資料に載っているかどうかを基準にしてください。

異動が多い場合の書き方

数年ごとの異動で職種が変わっていると、一貫性がないように見えることがあります。この場合、時系列で全部書くのではなく、経験の種類でまとめる方法があります。

時系列で書く場合

配属順に並べ、それぞれで何を担当したかを書きます。異動の多さが「幅広い業務に対応できる」という説明につながります。

職種別にまとめる場合

「予算・財務」「窓口・住民対応」「事業の企画運営」のようにまとめ、それぞれの経験年数と内容を書きます。応募先で求められている経験を上に置きます。

どちらが良いかは応募先によります。求人票の要件を読んで、その要件に近い経験が上に来る構成にしてください。

書いた後に確認すること

  • 行政でしか通じない略語が残っていないか
  • 部署名だけで内容を説明した箇所がないか
  • 数値が1つも入っていない項目がないか
  • 応募先の求人要件に対応する経験が、最初のページに書かれているか

第三者に読んでもらうのが最も確実です。ハローワークの職業相談では、職務経歴書の書き方についても相談できます。在職中でも利用できます。