公務員の転職活動には、民間から民間への転職にはない制約があります。転職先を探し始める前に、ここだけは確認しておいてください。知らずに進めると、内定が出てから問題になることがあります。

規制は3つに分かれる

再就職に関する規制は、時期と行為によって分かれています。混同されがちですが、意味がまったく違います。

規制いつの話か何が制限されるか
求職の規制在職中利害関係のある企業等への求職活動
あっせんの規制在職中職員が他の職員の再就職をあっせんすること
働きかけの規制離職後元の職場への働きかけ

このうち、転職を考えている本人に直接関わるのは「求職の規制」と「働きかけの規制」です。

在職中の求職活動(国家公務員の場合)

国家公務員法には、在職中の求職活動に関する規定があります。職員が、利害関係のある企業等に対して、離職後にその企業等の地位に就くことを目的として、自ら働きかけることが制限されています。

ここで重要なのは、規制の対象が「利害関係のある企業等」に限られているという点です。

  • 許認可、検査、監督、契約などで自分の職務と関係のある企業 → 規制の対象になりうる
  • まったく関係のない業界の企業 → 一般的な求人への応募は通常の転職活動と同じ

つまり、すべての転職活動が禁止されているわけではありません。自分の担当業務と利害関係のない企業への応募まで止められているわけではない、というのが基本の理解です。

注意

具体的にどの範囲が「利害関係」に当たるかは、担当している職務によって変わります。判断に迷う場合は、必ず所属の人事担当部署に確認してください。

地方公務員の場合

地方公務員法には、国家公務員法と同じ形の在職中の求職規制の一般規定は置かれていません。ただし、自治体が条例や規則で独自に定めている場合があります。

一方、離職後の働きかけについては、地方公務員法にも規定があります。離職前の一定期間に在職していた組織に対し、離職後の一定期間、職務に関して働きかけることが制限されます。

自分の自治体でどう定められているかは、例規集や人事担当部署で確認できます。

離職後の「働きかけ」の制限

こちらは退職後の話です。国家公務員・地方公務員のいずれについても、離職後2年間、離職前の一定期間に在職していた組織の現職職員に対し、契約や処分に関する事務について職務上の行為をするよう働きかけることが制限されています。

誤解されやすいのですが、これは「元の職場と関係のある会社に転職してはいけない」という規制ではありません。転職そのものではなく、転職後に元の職場へ働きかける行為が制限されています。

とはいえ、転職先での職務内容が元の職場との折衝を含む場合、実務上は影響します。内定前に、どこまでの業務を担当することになるかを確認しておくと安全です。

罰則がある

これらの規制には罰則が定められています。「知らなかった」では済まないため、次の順番で確認してください。

  1. 1 自分の職務に利害関係のある企業等の範囲を把握する
  2. 2 応募先がその範囲に当たるかを確認する
  3. 3 判断に迷う場合は人事担当部署に相談する
  4. 4 国家公務員は再就職等監視委員会、地方公務員は自治体の例規集も参照する

注意

この記事は制度の枠組みを整理したものです。実際の適用は職務内容や自治体の定めによって変わるため、必ず一次情報と所属先の規則で確認してください。

規制を理由に諦める必要はない

ここまで読んで「面倒だから辞めるのはやめよう」と感じたかもしれません。ただ、実際に規制の対象になるのは、自分の職務と直接の利害関係がある企業に応募する場合です。

異業種への転職であれば、通常の転職活動と同じように進められることがほとんどです。まず自分のケースが規制に当たるかを確認するところから始めてください。