消防の仕事では、災害現場や救急搬送を通じて個人の情報に触れます。守秘義務は退職しても消えません。
地方公務員法34条1項
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
条文にはっきりと「その職を退いた後も」と書かれています。
出典: 地方公務員法34条1項
救急救命士の場合はさらに個別の定めがある
救急救命士の資格を持っている場合、救急救命士法47条が別に守秘義務を定めています。
救急救命士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。救急救命士でなくなった後においても、同様とする。
出典: 救急救命士法47条
つまり、地方公務員としての守秘義務と、救急救命士としての守秘義務の両方がかかります。消防を退職して民間の救急関連の仕事に就いた場合も、救急救命士としての義務は続きます。
実際に気をつけること
転職の面接
前職の経験を説明する場面で、具体的な災害の内容、傷病者や関係者の情報に触れることはできません。
説明できるのは、職務を通じて身につけた一般的な能力です。
- 交替制勤務での体調管理と自己管理
- 緊急時の判断と冷静さ
- チームでの連携と指揮系統に沿った行動
- 応急処置や救命の技術
- 記録・報告書の作成
- 予防業務で培った法令に沿った確認の正確さ
SNS・執筆・取材
退職後にSNSで発信したり、取材を受けたりする場合も同じです。「もう辞めたから」という理由は通りません。
災害現場の写真や動画を個人の端末で撮影している場合、退職前に扱いを確認してください。
再就職先での業務
警備業、防災コンサルティング、企業の防災担当など、前職の経験が評価される再就職先があります。その場合でも、職務上知り得た具体的な情報を使うことはできません。
在職中の営利企業への従事
地方公務員法38条1項は、職員が任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員を兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業や事務に従事したりしてはならないと定めています。
これは在職中の規定です。在職中に転職先で働き始めることはできません。
出典: 地方公務員法38条1項
退職前に確認しておくこと
- 所属で定められている退職時の誓約書の内容
- 再就職に関する届出や制限が条例・規則にあるか
- 個人の端末に業務関連の情報が残っていないか