公務員の退職は、日付をいつにするかで受け取れる額が変わります。民間の転職より、この影響が大きく出ます。

3つの軸から逆算する

退職日を決めるとき、次の3つを確認してください。順番に見ていきます。

  1. 1 年度単位の人事サイクル
  2. 2 退職手当の勤続年数の区切り
  3. 3 期末手当・勤勉手当の基準日

1. 年度末退職が基本とされる理由

公務員の人事は年度単位で動きます。年度末(3月31日)退職が多いのは、次の理由によります。

  • 後任の配置が4月の定期人事異動で行われる
  • 担当業務が年度単位で区切られているため、引き継ぎがしやすい
  • 職場の理解を得やすい

一方で、年度途中の退職ができないわけではありません。辞職は法令上禁止されているものではなく、任命権者の承認を経て成立します。ただし、年度途中の場合は後任の手当てが難しいため、承認までの調整に時間がかかることがあります。

転職先の入社日が年度途中になる場合は、内定を得る前の段階で、退職希望日の見通しを職場に伝えておくほうが進めやすくなります。

2. 退職手当の勤続年数

退職手当の額は、勤続年数に応じた支給率で計算されます。支給率は勤続年数の区切りで上がるため、あと数か月で区切りに届く場合は、その差を確認する価値があります。

具体的な支給率は、国家公務員は法律、地方公務員は各自治体の条例で定められています。自分の勤続年数と、次の区切りまでの期間を確認してください。

ポイント

退職手当の計算方法は、勤続年数だけでなく退職理由(自己都合か、定年か、勧奨によるものか)によっても変わります。自己都合退職の支給率は、他の理由より低く設定されているのが一般的です。

3. 期末手当・勤勉手当の基準日

いわゆるボーナスに当たる期末手当・勤勉手当には、基準日があります。基準日に在職していることが支給の条件とされているのが通常です。

基準日は6月1日と12月1日とされていることが多く、この日を過ぎてから退職すると支給の対象になります。

注意

基準日や支給の要件は自治体や機関によって定めが異なります。給与担当部署または例規集で、自分の場合を確認してください。

3つを並べると、退職日が決まる

例として、次のように整理します。

確認項目自分の場合
転職先の入社希望日◯月◯日
勤続年数の区切りまであと◯か月
次の期末手当の基準日◯月1日
年次休暇の残日数◯日

これを並べると、「あと2か月ずらすと手当の基準日を越え、勤続年数の区切りにも届く」といった判断ができます。逆に、転職先の入社日が動かせないなら、その分は諦めるという整理になります。

年次休暇の消化を忘れない

退職日を決める前に、年次休暇の残日数を確認してください。退職日を先に決めてしまうと、残った休暇を使いきれない形になります。

公務員の年次休暇には繰越の仕組みがありますが、退職時に買い上げられる制度は一般的ではありません。使わなければそのまま消えます。

内定から退職までの流れ

  1. 1 転職先から内定を得る(書面で入社日を確認する)
  2. 2 年次休暇の残日数と、上の3つの軸を確認する
  3. 3 退職希望日を決める
  4. 4 所属長に口頭で伝える
  5. 5 辞職願を提出する(任命権者の承認を経て退職が成立します)
  6. 6 引き継ぎと年次休暇の消化を進める

注意

民間企業の退職と異なり、公務員の辞職は任命権者の承認によって効力が生じるとされています。民法の2週間ルールがそのまま当てはまるわけではないため、余裕をもって申し出てください。

早めに動いたほうがよい理由

年度末退職を希望する場合、多くの職場では前年の秋から冬にかけて次年度の人事の検討が始まります。この時期までに意思を伝えておくと、後任の配置を含めて調整しやすくなります。

引き止めを避けたいという理由で申し出を遅らせる人もいますが、遅らせるほど「後任がいない」という状況を自分で作ることになります。