公務員から民間への転職面接では、ほぼ必ず同じ質問をされます。「なぜ公務員を辞めるのですか」です。
この質問の意図を理解しないまま答えると、準備してきた他の回答も評価されにくくなります。
面接官が本当に知りたいこと
この質問は、退職理由そのものを知りたくて聞かれているわけではありません。確かめられているのは次の点です。
- 1 同じ理由でうちもすぐ辞めないか
- 2 民間の働き方を理解しているか
- 3 安定を失うことを納得しているか
つまり、「うちで続けられる人か」を見られています。ここを外すと、どれだけ立派な志望動機を用意しても響きません。
避けたい答え方
「安定より挑戦がしたい」だけで終える
言葉として耳ざわりはよいのですが、中身がありません。何に挑戦したいのか、なぜそれが民間でなければならないのかまで言えないと、勢いだけの転職に見えます。
前職の不満を並べる
年功序列、意思決定の遅さ、前例主義。事実だとしても、それだけで終えると「うちでも同じように不満を持つのでは」と受け取られます。
「公務員の仕事にやりがいを感じなかった」
やりがいの有無は主観なので、聞いた側が判断できません。また、公共の仕事を否定する形になると、印象を損ねることがあります。
使える型
事実を偽る必要はありません。起きたことを述べたうえで、次に何を求めているかに接続します。
現在の職場では、担当した事業の効果を数字で確かめるところまで関わることができませんでした。制度の設計から実行、結果の検証までを一貫して担当したいと考え、事業の速度が速い環境を志望しています。
この形なら、不満を述べていながら「次に求めるもの」に接続しているため、志望動機と一本につながります。
ポイント
退職理由と志望動機は別々に用意するのではなく、同じ話の前半と後半として作ります。
聞かれやすい質問と、その意図
| 質問 | 確かめられていること |
|---|---|
| なぜ公務員を辞めるのか | 続けられる人かどうか |
| 民間との違いをどう考えているか | スピード感や成果への理解 |
| 年収が下がる可能性があるが大丈夫か | 条件面での納得と覚悟 |
| 数字を追う仕事に抵抗はないか | 成果主義への適性 |
| 前例のない業務にどう対応するか | 前例主義から離れられるか |
| 残業や休日出勤への考え方 | 働き方の認識のずれ |
「利益を追う仕事」への抵抗を聞かれたら
公務員から転職する人に対して、面接官が懸念しやすい点です。公共の仕事と営利の仕事の違いをどう捉えているかが見られています。
否定も過剰な同調もせず、自分の考えを述べる形が無難です。事業が続くためには収益が必要であること、その上で提供する価値があることを、自分の言葉で説明できるようにしておいてください。
強みの伝え方
公務員経験は、次のような点で評価されることがあります。ただしそのまま言うのではなく、具体的な場面とセットで話す必要があります。
- 法令や規程を正確に読み、根拠に基づいて判断する力
- 利害の異なる関係者との調整経験
- 正確な文書を作成する力
- 公的機関の仕組みを理解していること
「調整力があります」ではなく、「◯つの部署と◯者の事業者が関わる案件で、合意までに◯か月かけて調整した」のように、状況と規模を添えます。
準備しておくこと
- 1 退職理由と志望動機を、同じ話の前半と後半としてつなげる
- 2 経験を語るとき、規模や件数の数値を1つは入れる
- 3 年収や働き方が変わることへの考えを整理しておく
- 4 守秘義務に触れない範囲で話せる事例を、2つか3つ用意する
なお、在職中に転職活動をする場合、応募先によっては再就職の規制が関わることがあります。面接に進む前に確認してください。