退職届は誰に出す?提出先と渡し方マナー
退職届をどこに出すか、どうやって渡すか。これは退職プロセスの中でも、直接的かつ重要なステップです。会社の就業規則、上司の状況、環境など、さまざまな要因に応じた正しい判断が必要です。ここではその全てを解説します。
退職届の提出先の基本ルール
退職届を出す際の提出先は、以下の優先順位で判断しましょう。
- 1
就業規則に定めがある場合
就業規則に「退職届の提出先は〇〇へ」と明記されていれば、それに従います。就業規則が最優先です。
- 2
就業規則に定めがない場合
直属の上司に手渡しするのが基本です。日本の職場慣行では、重要な書類は上司を通じて人事部に上がっていくという流れが一般的です。
- 3
上司に提出できない場合
人事部門に直接提出するか、内容証明郵便で会社宛に送付します。どちらでも法的に有効です。
退職届を提出する順番
退職届を提出する際は、以下の順序を意識しましょう。
ステップ1:上司に口頭で伝える
いきなり退職届を出すのではなく、まず直属の上司に口頭で「退職を検討しています」と打ち明けます。退職日や理由について相談するフェーズです。
ステップ2:上司と退職日を合意
引き継ぎ期間や会社の事情を考慮して、退職日を決定します。就業規則での期限ルールも確認します。
ステップ3:合意した日付で退職届を提出
上司と合意した退職日を記載した退職届を作成し、手渡しで提出します。
ステップ4:上司が人事部門に報告
通常、上司から人事部門に共有されます。退職者本人も人事部門から確認の連絡を受けます。
直属の上司に出せない場合
以下のような場合は、上司以外に提出することが正当化されます。
上司からのパワーハラスメント・セクシャルハラスメント
上司に提出することで報復を受けるリスクがある場合は、上司の上司や人事部門に提出できます。
上司が受け取り拒否をする
上司が明らかに受け取りを拒否する場合は、その上司や人事部門に提出するか、内容証明郵便で会社宛に送付します。
上司が出張中など、連絡が取れない
緊急性がある場合は、人事部門に相談して対応を決めます。
退職届の渡し方マナー
退職届は正式な書類です。渡し方にも気配りが必要です。
封筒の準備
封筒のサイズ
A4判の白い封筒(長形4号:100mm×205mm)
表面の記載
中央に「退職届」と書く(赤ペンか黒ペン)
裏面の記載
左下に所属部署・フルネームを記載。左下が一般的です。
糊付け
封をして、封じ目に「〆」と書く(任意だが、フォーマルな印象を与えます)
渡すときの立ち振る舞い
上司と1対1の場面を作る
必ず2人きりの空間で。会議室や応接室など、個室が理想的
事前に時間帯を伝える
「お時間を取っていただきたいことがあります」と事前に一声かけておく
前置きの言葉
「お忙しいところ恐れ入りますが、重要なことについてご報告があります」と前置きしてから出す
両手で渡す
片手で投げるように渡すのはNG。両手で丁寧に渡す
机上に放置しない
上司に直接渡す。机の上にポンと置いて去るのは失礼
退職届を渡すタイミングと場所
タイミング
業務終了後 or 昼休み
業務の合間に突然出されると上司が動揺します。業務に支障のない時間帯を選びましょう。
月〜水曜日が目安
金曜日の終業後に渡されると、上司が週末悩むことになります。週初めに渡すのが親切です。
朝礼の後は避ける
朝礼で退職を宣言した場合を除き、朝礼直後は避けるのが無難。上司が心の準備ができていない可能性があります。
場所
会議室・応接室など個室
上司と2人きりで話ができる個室が理想的。他の社員に見られないようにしましょう。
上司の席(デスク)
個室が確保できない場合は、上司のデスクで話してもOK。ただし他の社員がいない時間帯を選びましょう。
避けるべき場所
トイレ、廊下、食堂など公開の場所。退職届は重要な書類であり、隠れてこっそり渡すべきものではありません。
コピーを保管しておくべき理由
自分の控えとして、退職届のコピーを保管しておくことをおすすめします。
提出日の証拠になる
後日「受け取った」「受け取らない」でトラブルになった場合、自分の控えが証拠になります。
内容確認用
記載した内容を後で確認したいときに参照できます。
退職代行利用時の証拠
万が一、退職代行を利用する場合、提出済みの証拠として使えます。
よくある質問
退職届は社長に直接出すべき?
就業規則に指定がなければ、直属の上司に出すのが原則です。社長に直接出すことは通常ありません。その後、社長に報告されるのは上司を通じてです。
退職届はメールで送ってもいい?
避けるべきです。退職届は重要な書類のため、手渡しが原則です。メールで事前連絡をした後に、紙版を提出して正式な手続きにしましょう。
退職届を人事に出したら直属上司に失礼?
就業規則に人事への提出が定められている場合や、上司に大きな問題がある場合は人事提出でも問題ありません。ただしできれば上司にも事前に口頭で伝えるほうが丁寧です。
上司に渡した後、内容証明郵便を送る必要は?
必要ありません。上司に提出された時点で、提出日の記録は会社に残ります。問題が起こった場合に備えて、自分のコピーを保管しておけば十分です。
退職届と退職願の違いは?
退職届は「一方的に退職の意思を伝える」もので、撤回は原則不可。退職願は「退職の申し出」で、撤回の余地がある場合もあります。確実に退職するなら「退職届」が正式です。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。個別の状況に応じた判断が必要な場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。