傷病手当金の支給期間
傷病手当金がいつまで受け取れるかは、健康保険法99条4項が定めています。 同一の病気やケガについて、支給を始めた日から通算して1年6か月です。 「通算して」という言葉が入ったのは令和4年1月1日からで、 それ以前とは受け取れる期間の考え方が変わっています。
このページは健康保険法99条と、厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」、協会けんぽ「傷病手当金について(令和8年3月13日)」に基づいています。
改正前は「途中で働くと損」だった
令和3年12月31日以前は、支給開始日から起算して1年6か月が期限でした。 暦のうえで1年6か月経てば、実際に受け取った日数がどれだけ少なくても打ち切りだったのです。
改正前(令和3年12月31日まで)
支給開始日から起算して1年6か月。途中で復職して支給が止まった期間も、 その1年6か月に含まれてしまう。復職を試して再び体調を崩すと、 受け取れる日数が減る仕組みだった。
改正後(令和4年1月1日から)
実際に支給された期間を通算して1年6か月。 支給されなかった期間は数に入らないため、 支給開始日から起算して1年6か月を超えても繰り越して受け取れる。
厚生労働省のリーフレットも「支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります」と説明しています。 改正の理由は治療と仕事の両立で、復職を試みることが不利にならないようにするためです。
この改正は「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)」によるもので、 令和3年12月31日時点で支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金 (令和2年7月2日以降に支給が開始されたもの)が対象とされました。
数えるのは「実際に支給された期間」
協会けんぽは「支給が始まった日(支給開始日)から支給期間(実際に支給された期間)を通算して1年6カ月の期間を限度として、支給されます」と説明しています。
通算に数えられない日
- 待期の3日間(そもそも支給対象外)
- 復職して働いていた期間
- 報酬が傷病手当金の日額以上支払われて不支給になった日
有給休暇を使った日も、その日給が傷病手当金の日額以上であれば支給されないため通算に数えられません。 詳しくは給与が支払われている場合の傷病手当金で解説しています。
在職中と退職後で「再開できるか」が違う
通算化されたことで、在職中であれば復職と休職を繰り返しても残りの期間を使えます。 ただし退職後の継続給付として受けている場合は話が別です。
退職後は一度でも働ける状態になると打ち切り
協会けんぽは資格喪失後の継続給付について「一旦仕事に就くことできる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません」としています。通算で1年6か月分が残っていても、退職後は再開できません。 退職後に一時的に回復したように見えても、自己判断で就労可能と申告する前に保険者に相談してください。
退職後の継続給付の要件は傷病手当金は退職後も受け取れるで解説しています。
「同一の傷病」かどうかで期間が変わる
条文は「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては」と書いています。 まったく別の病気やケガであれば別に支給期間が設けられますが、 もとの病気から発した病気は同一のものとして扱われます。
同一かどうかは、療養担当者の証明などをもとに保険者が判断します。 自己判断で「別の病気だから新たに1年6か月受けられる」と考えず、加入している保険者に確認してください。
1年6か月を使い切ったあとの選択肢
同一の傷病では傷病手当金を受け取れなくなります。働けない状態が続く場合、次に確認するのは障害年金です。
- 障害厚生年金・障害基礎年金の対象になるか障害年金には原則として初診日から1年6か月経過した日という認定の考え方があり、 傷病手当金の支給期間と接続しやすくなっています。ただし同一の傷病で障害厚生年金を受けられるときは 傷病手当金との調整があるため、期間が重なる場合は調整の仕組みを確認してください
- 失業保険の受給期間延長を申請していたか退職していて、その後働ける状態になったなら失業保険を受けられます。 病気やケガで30日以上働けない場合は受給期間の延長ができるため、 申請していなかった場合は早めにハローワークに相談してください
よくある質問
傷病手当金は最長どれくらい受け取れますか?
同一の病気やケガについて、支給を始めた日から通算して1年6か月です(健康保険法99条4項)。令和4年1月1日から通算化されたため、実際に支給された期間を積み上げて1年6か月に達するまで受け取れます。途中で復職して支給が止まった期間は通算に数えられないため、その分だけ後ろにずれます。
復職してまた休んだ場合、支給は再開されますか?
在職中であれば、同じ病気やケガで再び働けなくなったときは残っている支給期間の範囲で再開されます。ただし退職後の継続給付として受けている場合は扱いが異なり、いったん仕事に就くことができる状態になると、その後さらに働けない状態になっても支給されません。在職中か退職後かで結論が変わる点に注意が必要です。
別の病気になったら、新たに1年6か月受け取れますか?
健康保険法99条4項は「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては」通算1年6か月と定めています。まったく別の傷病であれば別に支給期間が設けられますが、もとの病気から発した病気は同一の扱いになります。同一かどうかの判断は療養担当者の証明などをもとに保険者が行うため、自己判断せず加入している保険者に確認してください。
1年6か月を使い切ったらどうなりますか?
同一の傷病では傷病手当金を受け取れなくなります。その後も働けない状態が続く場合は、障害厚生年金・障害基礎年金の対象になるかを確認するのが次の選択肢です。障害年金には原則として初診日から1年6か月経過した日という認定の考え方があり、傷病手当金の期間と接続しやすくなっています。退職して働ける状態になっていれば、失業保険(基本手当)の受給期間延長を申請していたかどうかも確認してください。