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給与が支払われている場合の傷病手当金

休業中でも家族手当や住宅手当が満額支払われたり、有給休暇を使ったりすることがあります。 このとき傷病手当金がどうなるかは、「支払われた額が傷病手当金より多いか少ないか」で決まります。 全部もらえなくなるわけでも、そのまま両方もらえるわけでもありません。

このページは健康保険法108条と、協会けんぽ(全国健康保険協会)の「傷病手当金」および「傷病手当金について(令和8年3月13日)」の計算例に基づいています。

条文は「支給しない。ただし差額は支給する」

健康保険法108条1項はこう定めています。

疾病にかかり、又は負傷した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、 これを受けることができる期間は、傷病手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、第九十九条第二項の規定により算定される額より少ないときは、その差額を支給する。

つまり原則は不支給ですが、報酬が傷病手当金より少なければ、その差額が支給されます。 少額の手当が続いているせいで傷病手当金を丸ごと諦めてしまう人がいますが、その必要はありません。

手当の日額は「支払われた額 ÷ 対象日数」で出す

比較するのは1日あたりの金額どうしです。月単位で支払われる手当は、対象となる日数で割って日額に直します。 協会けんぽの計算例では、1円未満を切り上げています。

家族手当 5,000円 ÷ 31日(1月16日〜2月15日)= 161.29…円

→ 1円未満を切り上げて 162円

傷病手当金の日額が6,147円だとすると、162円のほうが少ないので差額の5,985円が1日あたり支給されます。

公式の計算例を1日ずつ追う

協会けんぽが示している例です。傷病手当金の日額は6,147円。申請期間は1月16日〜2月15日、 給与の締日は15日、出勤日はなし。家族手当5,000円が満額支給され、 2月1日〜2月5日と2月10日は有給休暇(日給10,000円)を取得しています。

期間日数報酬の日額傷病手当金
1月16日〜1月18日待期の3日間3支給なし
1月19日〜1月31日家族手当のみ13162円5,985円/日
2月1日〜2月5日有給休暇510,000円支給なし
2月6日〜2月9日家族手当のみ4162円5,985円/日
2月10日有給休暇110,000円支給なし
2月11日〜2月15日家族手当のみ5162円5,985円/日

有給休暇の日給10,000円は傷病手当金の日額6,147円より多いため、その6日間は支給されません。 待期の3日間も支給対象外です。残る22日間について差額5,985円が支給され、合計131,670円になります。

ポイントは、日ごとに比較することです。 期間全体をならして判定するのではなく、報酬が日額以上の日はその日だけが支給対象から外れます。

有給休暇を先に使うか、傷病手当金を先に受けるか

有給休暇の日給は多くの場合、傷病手当金の日額(おおよそ標準報酬月額の3分の2)より高くなります。 そのため有給を使った日は傷病手当金が出ず、その日数分だけ支給が後ろにずれます

傷病手当金の支給期間は「支給を始めた日から通算して1年6か月」なので、 支給されなかった日は通算に数えられず繰り越されます。 有給が残っているなら先に使い、使い切ってから傷病手当金に切り替えるほうが、 受け取る総額としては有利になることが多いといえます。

ただし待期の3日間については、有給休暇でも土日祝でも待期として成立します。 待期を先に済ませておくこと自体に不利はありません。

退職前の有給消化の考え方は退職前に有給を使い切る方法も参考にしてください。

差し引かれない報酬もある

  • 出勤した日(早退を含む)に対して支払われた報酬時間給・歩合給・時間外手当など実働分だけの支給や、一時金のみの場合は申請書に記入しません
  • 実費分のみ支給される通勤手当休んだ日に対して支給されていないためです。ただし定期代のように過去に支払ったもので、 申請期間が一部でも含まれる手当はすべて記入します(本人が返金する場合は記入不要)
  • 標準報酬月額の算定に考慮されない報酬令和5年10月から年収の壁への当面の対応として導入された社会保険適用促進手当などは、 傷病手当金の調整対象となる報酬に含まれません
  • 基本給や諸手当をすべて欠勤控除している場合記入不要です。0円と書く必要もありません

手当が出ている場合の差額を計算する

支払われる額と対象日数を入れると、日額換算と差し引き後の金額が出ます。

傷病手当金を計算する

よくある質問

給与をもらっていると傷病手当金は全くもらえないのですか?

全額もらえなくなるわけではありません。健康保険法108条1項は、報酬の全部または一部を受けられる期間は傷病手当金を支給しないとしたうえで、ただし書で「その受けることができる報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する」と定めています。家族手当のように少額の手当だけが支払われている場合は、その分を差し引いた差額が支給されます。

有給休暇を使った日は傷病手当金をもらえますか?

有給休暇の給与が傷病手当金の日額以上であれば、その日は支給されません。日額より少なければ差額が支給されます。多くの場合は有給の日給のほうが高くなるため、有給を取得した日は傷病手当金が出ないと考えておくとよいでしょう。ただし待期の3日間については、有給休暇でも待期として成立します。

手当の日額はどうやって計算しますか?

支払われた額を、その手当が対象とする日数で割ります。協会けんぽの計算例では、家族手当5,000円が1月16日から2月15日までの31日分として支払われた場合、5,000円÷31日=161.29…円を1円未満切り上げて162円としています。この162円を傷病手当金の日額から差し引いた額が支給されます。

通勤手当や賞与も差し引かれますか?

通勤手当は、実際に出勤した分の実費だけが支給されている場合は休んだ日に対する報酬ではないため、申請書に記入せず差し引かれません。一方、定期代のように過去に支払ったものでも申請期間が一部でも含まれる場合はすべて記入する必要があります。また、標準報酬月額の算定に考慮されない報酬(令和5年10月に導入された社会保険適用促進手当など)は、傷病手当金の調整対象となる報酬には含まれません。

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