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傷病手当金と雇用保険の傷病手当

「傷病手当金」と「傷病手当」。1文字違うだけですが、健康保険と雇用保険という別々の制度にある、別々の給付です。 病気で退職した人が調べていると必ず両方が出てくるうえ、解説記事でも混同されていることがあります。 どちらの話をしているのかを取り違えると、受け取れるはずのものを逃します。

このページはハローワーク「傷病手当が支給される場合は」、東京労働局「求職者給付に関するQ&A」、協会けんぽ「傷病手当金」に基づいています。

2つの制度を並べて比べる

傷病手当金傷病手当
制度健康保険雇用保険
正式な名前傷病手当金傷病手当
対象になる場面業務外の病気やケガで働けず、給与が受けられないとき求職の申込後、病気やケガで引き続き15日以上職業につけないとき
金額標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2基本手当と同額
受けられる期間支給開始日から通算して1年6か月所定給付日数の範囲内
窓口協会けんぽの支部・健康保険組合ハローワーク

大きな違いは「いつの話か」です。傷病手当金は働いているあいだに働けなくなったときの所得保障、 雇用保険の傷病手当は仕事を探しはじめてから働けなくなったときに基本手当の代わりに出るものです。

雇用保険の傷病手当が出る条件

ハローワークの説明はこうです。

皆さんが、受給資格決定日以後、病気やケガのため引き続き15日以上職業につくことができなくなった場合には、 基本手当の支給を受けることはできませんが、それにかえて所定給付日数の範囲内で基本手当と同額の傷病手当が支給されます。 ただし、健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付などの支給を受けることができる場合には、傷病手当は支給されません。

ポイントは3つあります。

  • 求職の申込をした後の話受給資格決定日以後が対象なので、ハローワークで手続きをする前に働けなくなった場合は当てはまりません
  • 15日以上が境目14日以内の病気やケガであれば基本手当が支給されます。15日以上になると傷病手当に切り替わります
  • 健康保険の傷病手当金と重ならない傷病手当金を受けられる場合は雇用保険の傷病手当は出ません。両取りはできない仕組みです

申請は、病気やケガが治った後の最初の認定日までに、傷病手当支給申請書に受給資格者証を添えて提出します。 傷病の期間が1か月を超えるような場合は代理人(委任状が必要)または郵送でも提出でき、 遅くとも受給期間の最後の日から起算して1か月を経過する日までに手続きをする必要があります。

基本手当と傷病手当金が同時に受けられない理由

失業保険(基本手当)は働ける状態にあって仕事を探していることが受給の前提です。 一方、傷病手当金は仕事に就くことができない状態であることが前提です。 要件が正反対なので、同じ期間について両方を受けることは制度上できません。

そのため、病気で働けないまま退職した人が取るべき道は次のどちらかになります。

まだ働けない

健康保険の傷病手当金(継続給付)を受けながら、 失業保険は受給期間の延長を申請して先送りにする

働ける状態になった

傷病手当金は終了し、ハローワークで求職の申込をして基本手当を受ける

受給期間の延長は「30日以上」から

失業保険を受けられる期間は、離職日の翌日から原則1年です。 この1年のあいだに働けない状態が続くと、受け取れないまま期限が来てしまいます。 それを防ぐのが受給期間延長の手続きです。

東京労働局の説明

離職日の翌日から原則として、1年間である受給期間内に働くことができない状態が30日以上続いた場合は、「受給期間延長」の手続きを行うことで、 働くことができない日数を受給期間に加算することができます。 延長できる理由には「病気やけがで働くことができない (健康保険の傷病手当、労災保険の休業補償を受給中の場合を含む)」が挙げられています。

延長できる期間は、本来の受給期間1年に働くことができない期間を最長3年まで加算できるため、合計で最長4年になります。 傷病手当金を通算1年6か月受けたあとに就職活動を始めても、失業保険が間に合う形です。

なお、60歳以上の定年等により離職してしばらく休養する場合は、 本来の受給期間1年に休養したい期間を最長1年加算する別の枠組みになります。 手続きの詳細は失業保険の受給期間延長で解説しています。

退職後も傷病手当金を受けられるか確認する

被保険者期間と退職日の状況を入れると、健康保険法104条の継続給付の要件を満たしているかを判定できます。

傷病手当金を計算する

よくある質問

傷病手当金と傷病手当は何が違いますか?

健康保険の「傷病手当金」は、在職中に業務外の病気やケガで働けなくなったときに健康保険から支給されるものです。雇用保険の「傷病手当」は、退職後にハローワークで求職の申込をした後、病気やケガで引き続き15日以上職業につけなくなったときに、基本手当の代わりに支給されるものです。支給する制度も、対象になる場面も違います。

傷病手当金と雇用保険の傷病手当は両方もらえますか?

受けられません。ハローワークは「健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付などの支給を受けることができる場合には、傷病手当は支給されません」としています。退職後の継続給付として健康保険の傷病手当金を受けられる状態であれば、雇用保険の傷病手当は出ないことになります。

病気で働けないまま退職した場合、失業保険はどうすればよいですか?

失業保険(基本手当)は働ける状態であることが前提なので、働けないあいだは受けられません。離職日の翌日から原則1年である受給期間内に、働くことができない状態が30日以上続いた場合は「受給期間延長」の手続きをすると、働くことができない日数を受給期間に加算できます。健康保険の傷病手当金を受給中の場合も延長の理由に含まれます。

受給期間はどれくらい延長できますか?

病気やケガなどで働けない場合は、本来の受給期間1年に働くことができない期間を最長3年まで加算できます。つまり合計で最長4年です。60歳以上の定年等により離職してしばらく休養する場合は、本来の受給期間1年に休養したい期間を最長1年加算する別の枠組みになります。

短い病気なら失業保険はどうなりますか?

14日以内の病気やケガであれば、基本手当の支給を受けることができます。15日以上になると基本手当ではなく傷病手当の対象となり、30日以上働けない状態が続く場合は受給期間の延長を選ぶこともできます。日数によって使う制度が変わります。

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