インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 前田 康介さん(仮名)
  • 年齢: 30歳
  • 経験年数: 交通誘導警備員歴5年
  • 勤務先: 中堅警備会社(道路工事や建設現場の交通誘導)
  • 現在: 製造業の工場で品質管理職として勤務

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Q: パワハラが始まったきっかけを教えてください。

入社3年目に、新しい現場リーダーが赴任してきたのがきっかけです。それまでのリーダーは温厚な方で、現場の雰囲気も良かったのですが、新しいリーダーは「俺の言うことが絶対」というタイプでした。誘導の立ち位置が少し違うだけで「お前は何年やってるんだ」と怒鳴られ、休憩時間にスマホを見ているだけで「やる気がないなら帰れ」と言われました。

Q: 交通誘導の現場ならではの問題はありましたか?

交通誘導の現場は2〜3人の少人数で配置されることが多く、逃げ場がないんです。オフィスなら他の部署の人に相談できますが、現場では朝から夕方までリーダーと二人きりのこともあります。真夏の炎天下で怒鳴られながら誘導棒を振るのは、精神的にも肉体的にもきつかったです。

Q: 会社に相談はしましたか?

営業所の所長に相談しました。最初は「リーダーの指導は厳しいが、お前のためだ」と取り合ってもらえませんでした。2回目に「辞めたい」と伝えたところ、ようやく別の現場に異動させてもらえました。しかし、1か月後にまた同じリーダーの現場に戻されたんです。人手不足で、配置の選択肢が限られていたようです。

Q: 退職を決断した決定的な出来事は?

雨の日に交通誘導をしていた時、リーダーが「雨具を着るな、動きが鈍くなる」と言ったんです。結局、びしょ濡れで6時間立ちっぱなし。翌日、高熱を出して寝込みました。その時、「自分の体を守ってくれない会社にいる意味がない」と確信しました。熱が下がった翌日に退職届を書きました。

Q: 退職届はどのように出しましたか?

営業所の所長に退職届を提出しました。「人手が足りないから来月末まで待ってくれ」と言われましたが、体調面の理由もあったので、2週間後の退職を主張しました。民法627条で2週間前に通知すれば退職できることは調べていました。最終的には所長も折れて、2週間後の退職で合意しました。

Q: 退職後の転職活動はどうでしたか?

正直、「もう外の現場はやりたくない」と思っていました。屋内で働ける仕事を探し、製造業の品質管理職に応募しました。警備員時代に培った「注意力」「安全管理の意識」が品質管理でも活かせると面接でアピールしました。未経験でしたが、「安全に対する意識が高い」と評価されて採用されました。

Q: 現在の職場環境はいかがですか?

工場内の作業なので、天候に左右されることがなく、体の負担は大幅に減りました。年収は警備員時代の約280万円から約350万円に上がりました。何より、パワハラのない環境で安心して働けることが一番の変化です。上司も部下の意見を聞いてくれるタイプで、コミュニケーションが取りやすいです。

Q: 同じ状況にいる警備員にアドバイスをお願いします。

警備業界は慢性的な人手不足なので、「辞めたら迷惑がかかる」と思って我慢する人が多いです。でも、自分の心身を犠牲にしてまで続ける仕事はありません。パワハラを受けたら、まず証拠(日時・内容・場所)を記録してください。会社に相談しても改善されない場合は、労基署や都道府県の労働相談窓口に相談できます。警備員の経験は他業種でも活かせます。特に「安全管理」「注意力」「責任感」は、製造業やインフラ系の企業で評価されるポイントです。