インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 石川 洋平さん(仮名)
- 年齢: 35歳
- 経験年数: 施設警備員歴7年
- 勤務先: 中堅警備会社(病院の常駐警備)
- 現在: ドラッグストアの店舗スタッフとして勤務
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Q: 警備員の仕事と家庭の両立で困っていたことを教えてください。
病院の施設警備を担当していました。24時間勤務が月に10回程度あり、当務の日は丸一日家にいません。当務明けの日は午前中に帰宅しますが、ほとんど寝ています。つまり、月の3分の1は家族と過ごせない状態でした。子どもが生まれてからは、妻に家事と育児の負担が集中してしまいました。
Q: お子さんとの時間が取れなかったことについて、具体的に教えてください。
長男が2歳になっても、私が家にいる時間は限られていました。朝出勤する時はまだ寝ていて、当務明けで帰宅すると保育園に行っている。休日も疲れで昼まで寝てしまう。ある日、長男が妻に「パパ、おうちにいないね」と言ったと聞いて、胸が締めつけられました。子どもの成長を見逃しているという実感がありました。
Q: 妻との関係にも影響はありましたか?
正直、かなり険悪になった時期がありました。妻はワンオペ育児でストレスが溜まっていて、「私ばかり負担している」「あなたは家のことを何もしない」と言い合いになることが増えました。当務明けで疲れている時にそう言われると、こちらもカッとなってしまう。でも、妻の言い分は正しいんです。夜勤のある仕事と育児の両立は、本当に無理がありました。
Q: 会社にシフトの変更を相談しましたか?
隊長に「日勤のみのシフトにしてほしい」と相談しました。しかし、「日勤だけだと夜勤手当がなくなって給料が大幅に下がる」「他の隊員との公平性を考えると特別扱いはできない」と言われました。確かに、夜勤手当込みで年収約350万円のところ、日勤のみだと280万円程度に下がる計算でした。
Q: 退職を決断した理由は何でしたか?
長男が幼稚園に入り、運動会や発表会など行事が増えました。でも、シフト制なので行事と当務が重なることが多く、参加できないことが続きました。ある時、長男の運動会の動画を妻に見せてもらいながら泣いてしまったんです。「お金よりも、子どもの成長を見届けたい」と思い、退職を決めました。
Q: 退職届はどのように出しましたか?
隊長に口頭で退職の意思を伝え、翌日に退職届を提出しました。「子育てに専念したい」と正直に理由を伝えました。隊長は「気持ちはわかるが、人手不足なので後任が見つかるまで待ってくれ」と言われました。1か月半の猶予を設けて退職日を設定し、その間にシフトの引き継ぎを行いました。
Q: 転職先はどのように選びましたか?
「夜勤なし」「土日休みまたは平日の決まった日に休める」を最優先条件にしました。ドラッグストアの正社員を選んだのは、シフト制ではあるものの夜勤がなく、月の半分は希望休が取れるからです。警備員時代に培った「丁寧な接客」「防犯意識」は小売業でも評価されました。
Q: 退職後の生活はどう変わりましたか?
毎日家に帰って子どもとお風呂に入り、絵本を読んで寝かしつける。休日には家族で公園に行く。当たり前のことですが、警備員時代にはできなかったことです。長男が「パパ大好き」と言ってくれるようになり、退職して良かったと心から思います。年収は約350万円から約310万円に下がりましたが、夜勤手当に頼らない生活は精神的に安定しています。
Q: 家庭との両立に悩む警備員にアドバイスをお願いします。
警備員の夜勤は家庭生活と相性が悪いです。特に子育て中は、パートナーに大きな負担がかかります。「お金のために夜勤を続ける」という考えもわかりますが、家族の時間はお金では買えません。退職前に、夜勤なしで働ける職場を探しておくことをおすすめします。小売業、介護、ドライバーなど、警備員の経験が活かせる日勤の仕事は意外と多いです。退職届は退職希望日の1か月前に提出し、シフトの引き継ぎをスムーズに行いましょう。