インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 中島 健一さん(仮名)
  • 年齢: 36歳
  • 経験年数: 警備員歴10年(施設警備5年→交通誘導警備3年→施設警備2年)
  • 勤務先: 大手警備会社
  • 現在: 不動産管理会社のマンション管理員として勤務

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Q: 10年間の警備員キャリアで感じていた不満は何ですか?

一番は給与です。10年間で基本給は3万円しか上がりませんでした。夜勤手当や資格手当を含めても年収は約340万円。30代半ばで340万円は、正直きつかったです。同年代の友人と比べると100万円以上の差がありました。ボーナスも微々たるもので、年2回で合計1か月分程度。昇給のペースを見ると、定年まで働いても年収400万円に届くかどうかという状況でした。

Q: 役職に就くことは考えなかったのですか?

隊長(現場の責任者)への昇格は打診されたことがあります。しかし、隊長になっても手当が月1〜2万円増えるだけで、責任は大幅に増える。シフト管理、クレーム対応、新人教育など、名ばかり管理職のような状態です。しかも、隊長でもシフトに入るので、夜勤がなくなるわけではありません。「割に合わない」と感じて辞退しました。

Q: 警備業界の将来性についてどう感じていましたか?

AIやロボット技術の進歩で、警備の自動化が進んでいます。監視カメラのAI解析、巡回ロボット、無人受付システムなど、人間の警備員が不要になる領域が増えていると感じていました。大手警備会社もロボット警備の導入を進めていて、「いずれ自分の仕事はなくなるのでは」という不安がありました。

Q: 転職を本格的に考え始めたきっかけは?

同期で入社した仲間が5年目で転職して、不動産業界で管理職になったと聞いたことです。年収は500万円を超えているとのこと。一方、自分は10年間頑張っても340万円。「このまま警備業界にいても未来がない」と痛感しました。35歳を超えると異業種転職がさらに難しくなると聞き、「今が最後のチャンスだ」と決断しました。

Q: 異業種への転職活動はどうでしたか?

最初は苦戦しました。「警備員10年」という経歴では、書類選考で落とされることが多かったです。転職エージェントに相談したところ、「警備の経験を活かすなら、マンション管理やビル管理が近い」とアドバイスされました。マンション管理員の求人に応募したところ、「防犯意識が高い」「居住者対応の経験がある」と評価されて内定をもらえました。

Q: 退職届の提出から退職までの経緯を教えてください。

隊長に退職の意思を伝え、退職届を本社の人事部に提出しました。「10年も働いてくれたのにもったいない」と言われましたが、引き留めは形式的なものでした。警備業界は離職率が高いので、会社側も退職には慣れている感じでした。退職日は1か月後に設定し、シフトの調整と引き継ぎを行いました。

Q: 転職後の年収や待遇の変化を教えてください。

年収は約340万円から約400万円に上がりました。マンション管理員は日勤が中心で、夜勤はほとんどありません。管理組合とのやり取りや清掃業者の手配など、警備員時代とは違う業務もありますが、「建物を管理する」という点では共通しています。警備員時代に取得した防災関連の資格も役立っています。

Q: 待遇や将来性に不安を感じている警備員にアドバイスをお願いします。

警備業界の給与水準が低いのは構造的な問題で、個人の努力では変えにくい部分があります。「このまま警備を続けるか、異業種に転職するか」を早めに判断することが大切です。転職するなら、在職中に資格を取っておくことが重要です。ビル管理士、マンション管理士、危険物取扱者など、関連資格があると転職の選択肢が広がります。また、35歳を過ぎると異業種転職のハードルが上がるので、30代前半のうちに動くことをおすすめします。退職届は最低1か月前に提出し、シフトに穴が開かないよう配慮しましょう。