退職届を提出した後に「やはり撤回したい」と考えるケースがあります。教員の場合、公立と私立で撤回の可否が異なります。
公立教員の退職届(辞職願)の撤回
原則:教育委員会の承認前なら撤回可能
公立教員の退職は、地方公務員法第37条に基づく「辞職の申出」であり、任命権者(教育委員会)の承認をもって効力が生じます。したがって、教育委員会が正式に承認するまでは、辞職願を撤回することが法的に可能です。
承認前の撤回手順
- 1 速やかに校長に撤回の意思を口頭で伝える
- 2 「辞職願撤回届」を書面で校長に提出する
- 3 校長が教育委員会に撤回の旨を報告
承認後の撤回
教育委員会が辞職を承認した後は、原則として撤回はできません。承認は退職辞令の交付をもって正式に通知されるのが一般的ですが、内部決裁が完了した時点で承認が成立しているとみなされる場合もあります。
判例から見る撤回の可否
最高裁判例(昭和34年6月26日)は、「辞職の承認前であれば撤回は自由」という立場を示しています。ただし、承認手続きが進行中の場合は実務上のトラブルになることがあるため、できるだけ早期の撤回が望ましいです。
私立教員の退職届の撤回
退職届と退職願の違い
| 書類 | 性質 | 撤回 |
|---|---|---|
| 退職願 | 合意退職の申込み | 学校の承諾前なら撤回可能 |
| 退職届 | 一方的な意思表示 | 到達後の撤回は原則不可 |
退職願の場合
退職願は「合意退職の申込み」であり、学校側が承諾するまでは撤回が認められます(民法の意思表示の撤回に関する規定)。校長が受理しただけでは承諾とはならず、理事長や人事権者の承諾が必要です。
退職届の場合
退職届は「一方的な解約の意思表示」であり、相手方に到達した時点で効力が生じます(民法97条)。到達後の撤回は原則として認められません。ただし、学校側が撤回に同意すれば撤回は可能です。
撤回を考える前に確認すべきこと
撤回後の職場環境
退職届を撤回して復帰した場合、以下のリスクがあります。
- 管理職や同僚との関係が気まずくなる可能性
- 後任の人事配置が進んでいた場合、配置換えが生じる可能性
- 次の人事異動で不利になる可能性がゼロではない
撤回ではなく「退職日の延期」という選択肢
「撤回」ではなく「退職日を延期したい」という相談であれば、学校側も対応しやすいことがあります。例えば「3月31日ではなく、もう1年続けたい」というケースです。
撤回届の書き方
公立教員が辞職願を撤回する場合の書式例です。
記載事項
- 宛名:教育委員会教育長(校長経由)
- 件名:辞職願撤回届
- 本文:「○年○月○日付で提出いたしました辞職願につきまして、撤回いたしたく届け出ます」
- 日付、所属、氏名、押印
まとめ
| 区分 | 承認前 | 承認後 |
|---|---|---|
| 公立教員(辞職願) | 撤回可能 | 原則不可 |
| 私立教員(退職願) | 学校の承諾前なら可能 | 承諾後は不可 |
| 私立教員(退職届) | 到達後は原則不可 | 不可 |
撤回を希望する場合は、とにかく早く行動することが重要です。時間が経つほど手続きが進み、撤回が困難になります。