文部科学省の調査によると、精神疾患による教員の病気休職者数は毎年5,000人を超えており、近年は増加傾向にあります(令和4年度は6,539人)。休職中に退職を考えている方に向けて、知っておくべき制度と手順を解説します。
教員の精神疾患休職の現状
文科省「公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、精神疾患による病気休職者数は以下のように推移しています。
| 年度 | 精神疾患による休職者数 | 在職者に占める割合 |
|---|---|---|
| 令和2年度 | 5,180人 | 0.56% |
| 令和3年度 | 5,897人 | 0.64% |
| 令和4年度 | 6,539人 | 0.71% |
休職の主な原因は、長時間労働、保護者対応のストレス、職場の人間関係、部活動指導の負担などが挙げられます。
休職中の制度(公立教員)
病気休暇と病気休職の違い
| 病気休暇 | 病気休職 | |
|---|---|---|
| 期間 | 最大90日(自治体による) | 最大3年 |
| 給与 | 全額支給 | 1年目: 給与の8割、2年目以降: 無給(自治体による) |
| 身分 | 在職 | 在職(職務に従事しない) |
公立教員の傷病手当金
公立学校の教員は公立学校共済組合に加入しています。病気休職で給与が減額・無給となった場合、共済組合から傷病手当金が支給されます。
- 支給額: 標準報酬日額の2/3
- 支給期間: 支給開始日から通算1年6か月
- 要件: 療養のため勤務できないこと、給与が支給されないこと
無給期間に入ったら必ず共済組合に申請してください。
休職から退職を決断する判断基準
以下のような状況であれば、退職を前向きに検討してよいでしょう。
- 休職期間が1年以上続き、復職のめどが立たない
- 復職を考えるだけで症状が悪化する
- 主治医から「環境を変えることが回復に必要」と助言されている
- 教職以外のキャリアに関心が出てきた
一方で、休職期間がまだ短い場合(3〜6か月程度)は、焦って退職を決断しないことも大切です。主治医やカウンセラーと十分に相談してください。
復職判定の流れ
休職から復職する場合、以下の手順を経るのが一般的です。
- 1 主治医の復職可能の診断書を提出
- 2 産業医・精神科医による復職判定面談
- 3 試し出勤(リワークプログラム)
- 4 復職可否の最終判定(教育委員会)
復職判定で「復職困難」と判定された場合、休職期間満了による分限免職となる可能性があります。その前に自己都合退職を選択することも一つの方法です。
退職する場合の手順
- 1 主治医に相談: 退職の意思を伝え、診断書を更新してもらう
- 2 校長に連絡: 電話または書面で退職の意思を伝える(休職中は出勤不要)
- 3 退職届を提出: 郵送でも可。このビルダーで作成した退職届を利用できる
- 4 事務手続き: 共済組合の資格喪失届、退職手当の申請など
休職中で出勤が困難な場合、退職届は郵送(配達証明付き内容証明郵便)で提出できます。
退職後に利用できる制度
- 傷病手当金の継続給付: 退職日まで1年以上の共済組合加入期間があれば、退職後も残りの期間(通算1年6か月まで)受給可能
- 失業給付(雇用保険): 公立教員は雇用保険非加入のため失業給付は受けられない。ただし国の求職者支援制度は利用可能
- 自立支援医療制度: 精神科の医療費自己負担が1割に軽減される
- 障害年金: 症状が重い場合は障害基礎年金・障害厚生年金の申請を検討
精神的に限界を感じているなら、無理に復職せず退職を選ぶことは決して逃げではありません。まずは心身の回復を最優先にしてください。