# 育児との両立を断念して退職|中学校教員6年目の選択
インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 鈴木 あかりさん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 公立中学校 国語科教員 6年
- 勤務先: 公立中学校
- 家族構成: 夫(会社員)、長男3歳、次男0歳
- 現在: 退職後、非常勤講師としてパートタイム勤務
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Q: 育児と教員の仕事の両立は、具体的にどう大変でしたか?
長男を出産した後、1年間の育休を取得して復帰しました。時短勤務を申請しましたが、実態は時短になっていませんでした。
中学校の教員は、授業のコマ数が決まっているので、時短にしても担当授業を減らしてもらえないんです。6時間目まで授業があれば15時半までは絶対に帰れない。さらに、テストの採点や授業準備は持ち帰り仕事になります。部活の顧問は外してもらえましたが、その分「楽をしている」という目で見る同僚もいました。
保育園のお迎えは18時がリミットなのに、会議が長引いて間に合わないことが月に何度もありました。夫に頼める日は頼みましたが、夫も仕事があるので限界があります。
Q: 育休制度や時短勤務の制度自体は整っていたのですか?
制度としてはあります。公立学校の教員は地方公務員なので、育休は最大3年取れますし、時短勤務の制度もあります。ただ、制度と実態の乖離がすごいんです。
たとえば、時短勤務で給料は減るのに、仕事量は変わらない。中学校は教員の数がギリギリなので、誰かが休むと他の先生に負担がかかる。それが申し訳なくて、結局フルタイムと同じくらい働いてしまう。保護者対応も「担任の先生に話がしたい」と言われれば、時短関係なく対応しなければなりません。
Q: 退職を決めたきっかけは何でしたか?
第二子の妊娠がわかった時です。長男の時の経験から、二人の子どもを育てながら中学校のフルタイム教員を続けることは物理的に無理だと判断しました。
決め手になったのは、長男が保育園でよく熱を出すようになったことです。呼び出しの電話が来るたびに、授業を自習にして早退していました。他の先生に迷惑をかけている罪悪感と、子どもに十分な時間を使えていない罪悪感の板挟みで、精神的に限界でした。
夫と何度も話し合って、「今は子育てを優先しよう」という結論に至りました。
Q: 退職の手続きはどう進めましたか?
産休に入る前の段階で校長に相談しました。「産休・育休は取得するが、育休後に復帰せず退職したい」と伝えました。校長は「もったいない、育休後に戻ってこないか」と慰留されましたが、決意は固かったです。
手続きとしては、育休中に辞職願を教育委員会に提出しました。退職日は育休満了日に設定しました。これは重要なポイントで、育休中に退職すると育休手当の返還を求められるのではと心配しましたが、返還の必要はありません。ただし、育休の残り期間分の手当はもらえなくなるので、退職日の設定は慎重に行いました。
Q: 退職後の収入面での不安はありましたか?
正直、かなり不安でした。教員の年収は約450万円だったので、世帯収入が一気に減ります。退職金は勤続6年で約100万円程度でした。
ただ、退職後に非常勤講師として週2日だけ勤務する道を見つけました。自治体の教員登録制度に登録しておくと、非常勤の募集がかかった時に声がかかります。時給制で、授業のコマ数に応じた報酬です。担任も部活も持たないので、子育てとの両立が可能です。
Q: 退職して後悔はありますか?
正直に言うと、全くないと言えば嘘になります。同期の先生がキャリアアップして主任になっていく姿を見ると、複雑な気持ちになることはあります。
でも、子どもたちの成長を間近で見られる時間は今しかないと思っています。長男が「ママ、今日保育園で何したか聞いて!」と嬉しそうに話しかけてくる瞬間に、この選択でよかったと感じます。
教員を辞めても教員免許は失効しません。子育てが落ち着いたら、改めてフルタイムに戻る選択肢もあります。実際に、子育て後に教壇に復帰する先生は少なくありません。退職は「終わり」ではなく「一時停止」だと考えれば、気持ちが楽になると思います。
Q: 同じ状況の教員の方にアドバイスをお願いします。
まず、退職以外の選択肢も検討してください。育休の延長、時短勤務の申請、配偶者の育休取得など、使える制度は全て使い切った上で判断すべきです。
退職を決めたら、手続きは早めに動いてください。教育委員会への辞職願の提出期限は自治体によって異なります。また、退職後の健康保険(任意継続か国民健康保険か)や年金(第3号被保険者への切り替え)の手続きも忘れずに。
そして、退職後のキャリアプランをぼんやりでもいいので描いておくこと。教員の経験は、塾講師、家庭教師、教育系企業など、様々な場で活きます。退職届のテンプレートはこのサイトで作成できるので、活用してください。