# うつ病で休職→退職|高校教員9年目で心が折れた日
インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 山本 健太さん(仮名)
- 年齢: 33歳
- 経験年数: 公立高校 数学科教員 9年(うち休職1年)
- 勤務先: 公立高校
- 現在: フリーランスの学習塾講師として活動中
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Q: 体調を崩し始めたのはいつ頃からですか?
7年目の秋頃からです。3校目に異動して、進学校の3年生を担当することになりました。進路指導のプレッシャーが大きくて、毎日夜10時まで学校に残って補習や面談をしていました。
最初の症状は不眠でした。布団に入っても、生徒の模試の成績や、翌日の授業の段取りが頭から離れなくて、朝方まで眠れない日が続きました。それでも朝7時には学校に行かなければならない。慢性的な睡眠不足で、日中もぼんやりする時間が増えていきました。
Q: 症状が深刻化したきっかけは何でしたか?
冬の三者面談の時期です。保護者から「先生の指導で志望校に落ちたらどうしてくれるんですか」と面と向かって言われたことがありました。冷静に対応しましたが、帰宅後に急に過呼吸になりました。
その後、食欲がなくなり、体重が2ヶ月で8キロ落ちました。「自分はダメな教員だ」「生徒に申し訳ない」という自責の念がずっと頭の中をぐるぐる回っていて、授業中も集中できなくなりました。生徒の前で突然涙が出そうになったこともあります。
Q: 病院を受診するまでにどのくらいかかりましたか?
症状が出始めてから約4ヶ月です。教員って、自分の弱さを認めるのが苦手な人が多いと思います。「気合いで乗り越えられる」「生徒のために頑張らなければ」と思い込んでいました。
妻に「最近のあなたは明らかにおかしい」と強く言われて、ようやく心療内科を受診しました。診断はうつ病。医師からは「すぐに休職を勧めます」と言われましたが、年度途中に休むことへの罪悪感が強くて、最初は拒否しました。
結局、2月に教室で倒れてしまい、そこから休職に入りました。
Q: 休職中の対応と、退職を決めた経緯を教えてください。
休職は地方公務員として最大3年間取得できます。共済組合の傷病手当金として給料の約3分の2が支給されるので、経済的にはなんとかなりました。
最初の半年は、ほとんど何もできませんでした。寝て、起きて、また寝る。テレビを見る気力もなかったです。少しずつ回復して、散歩ができるようになったのが8ヶ月目くらいです。
復職を検討した時期もありましたが、学校のことを考えると動悸がして、「また同じ環境に戻ったら再発する」と感じました。主治医とも相談して、1年間の休職の後、退職を選びました。
Q: 退職の手続きで気をつけたことはありますか?
休職中の退職なので、校長との面談は管理職が自宅まで来てくれました。辞職願を提出し、理由は「一身上の都合」としました。病気のことを詳しく書く必要はありません。
重要なのは、退職日の設定です。私は共済組合の傷病手当金の受給期間を考慮して、退職日を調整しました。退職後も傷病手当金は一定期間継続して受給できますが、そのためには退職日までに1年以上の組合員期間が必要です。この条件を満たしているか、共済組合に事前に確認しておくことを強くお勧めします。
また、退職後は国民健康保険に切り替わりますが、任意継続被保険者の制度を使えば、退職後2年間は共済組合の保険を継続できます。保険料の比較をして、有利な方を選びましょう。
Q: 現在の状況と、同じ境遇の方へのメッセージをお願いします。
退職から2年が経ち、今はフリーランスの塾講師として働いています。週に3日、1日4時間程度の授業を担当しています。収入は教員時代の半分以下ですが、自分のペースで働けることで心の安定を保てています。
教員の方に伝えたいのは、「生徒のために自分を犠牲にする必要はない」ということです。自分が壊れてしまったら、結局は生徒にも迷惑をかけることになります。
体調に異変を感じたら、早めに受診してください。公立学校の教員には公務員向けの相談窓口やEAP(従業員支援プログラム)もあります。「まだ大丈夫」と思っている段階で助けを求めることが、最悪の事態を防ぐための第一歩です。
休職は権利です。退職も選択肢の一つです。教員免許があれば、回復後に別の形で教育に関わることもできます。焦らないでください。