教員が退職すると、在職中に加入していた共済組合の資格を失います。退職翌日から無保険にならないよう、速やかに健康保険の切り替え手続きを行う必要があります。
在職中の健康保険
| 区分 | 加入する医療保険 |
|---|---|
| 公立教員 | 公立学校共済組合 |
| 私立教員 | 日本私立学校振興・共済事業団(私学共済) |
退職後の選択肢
退職後の健康保険には主に3つの選択肢があります。
選択肢1:任意継続被保険者
退職前の共済組合に最長2年間継続して加入する制度です。
加入条件
- 退職日まで継続して1年以上の組合員期間があること(私学共済も同様)
- 退職日の翌日から20日以内に申請すること
保険料
- 在職中は事業主(自治体・学校法人)と折半だった保険料を全額自己負担
- ただし、保険料の上限あり(標準報酬月額の上限が設定されている)
- 公立学校共済組合の場合、退職時の標準報酬月額と全組合員の平均標準報酬月額のいずれか低い方で算定
メリット
- 在職中と同じ給付内容(附加給付がある場合はそれも継続)
- 扶養家族の保険料が不要(被扶養者もそのまま加入)
デメリット
- 保険料が全額自己負担になるため、在職中の約2倍になる
- 2年間の期限がある
- 一度脱退すると再加入できない
選択肢2:国民健康保険(国保)
住所地の市区町村で加入する健康保険です。
手続き
- 退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で手続き
- 必要書類:共済組合の資格喪失証明書、本人確認書類、マイナンバー確認書類
保険料の計算方法
国保の保険料は前年の所得に基づいて算定されます。
- 所得割:前年所得 x 料率
- 均等割:加入者1人あたりの定額
- 平等割:1世帯あたりの定額(ない自治体もある)
注意点
教員在職中の年収が高い場合、退職翌年度の国保保険料が非常に高額になることがあります。これは前年(在職中)の所得で計算されるためです。
減免制度
非自発的離職者(会社都合退職)の場合、国保保険料が軽減される制度がありますが、自己都合退職の場合は原則適用されません。ただし、自治体独自の減免制度がある場合もあるため、窓口で確認してください。
選択肢3:家族の被扶養者になる
配偶者や親が会社員・公務員で、退職後の年収が130万円未満の見込みであれば、家族の健康保険の被扶養者になることができます。
メリット
- 保険料の自己負担なし
条件
- 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
- 被保険者の年収の2分の1未満
3つの選択肢の比較
| 項目 | 任意継続 | 国民健康保険 | 家族の被扶養者 |
|---|---|---|---|
| 保険料 | 退職時報酬で算定(全額自己負担) | 前年所得で算定 | 0円 |
| 扶養家族 | 追加保険料なし | 人数分の保険料発生 | -- |
| 加入期限 | 最長2年 | 制限なし | 条件を満たす限り |
| 手続き期限 | 退職後20日以内 | 退職後14日以内 | 退職後5日以内(被保険者の勤務先経由) |
| 附加給付 | あり(共済組合による) | なし | 被保険者の制度による |
どれを選ぶべきか
判断のポイント
- 1 家族の被扶養者に入れるなら最も安い(保険料0円)
- 2 扶養家族がいる場合は任意継続が有利なことが多い(国保は人数分かかる)
- 3 単身で退職翌年の所得が低い見込みなら国保が安くなる可能性がある
- 4 附加給付(高額療養費の上乗せ給付等)がある共済組合なら任意継続のメリットが大きい
具体的な比較方法
- 任意継続の保険料:退職前に共済組合に問い合わせて確認
- 国保の保険料:市区町村の国保窓口で試算を依頼
- 両方の金額を比較して判断する
手続きのスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職1か月前 | 共済組合に任意継続の保険料を確認。市区町村で国保の保険料を試算 |
| 退職日 | 共済組合員証を返却 |
| 退職後5日以内 | 被扶養者になる場合は届出 |
| 退職後14日以内 | 国保に加入する場合は届出 |
| 退職後20日以内 | 任意継続を選択する場合は届出(厳守。1日でも遅れると加入不可) |