教員の退職で最も重要なのが引き継ぎです。担任を持っている場合は特に、後任の教員や生徒への影響を最小限にするための丁寧な引き継ぎが求められます。

引き継ぎの全体スケジュール

年度末退職(3月31日退職)の場合

時期やること
12月引き継ぎ資料の作成開始
1月校務分掌・部活動の引き継ぎ資料を完成
2月後任者が決まり次第、直接引き継ぎ
3月上旬成績処理・指導要録の完成
3月中旬データの整理・共有フォルダへのアップロード
3月下旬最終確認・備品返却

年度途中退職の場合

後任者がすぐに決まらないことがあるため、誰が読んでも分かる文書を作成することが特に重要です。

担任引き継ぎ資料の作成

学級経営関連

以下の内容をまとめた「学級引き継ぎ資料」を作成します。

生徒情報

  • 各生徒の性格・特性(配慮が必要な点を含む)
  • 特別支援が必要な生徒の個別の指導計画(IEP)
  • 不登校傾向のある生徒の状況と対応経過
  • いじめに関する報告・対応記録
  • アレルギー等の健康上の配慮事項

学級運営

  • 学級のルール・約束事
  • 係活動・委員会の役割分担
  • 座席表と配慮事項
  • 保護者との連絡状況(特に注意が必要な保護者)

注意:個人情報の取り扱い

引き継ぎ資料には個人情報が含まれるため、以下を徹底してください。

  • 校務用PCまたは学校指定のクラウドにのみ保存
  • 私物のUSBメモリや個人のクラウドには保存しない
  • 紙の資料は鍵のかかる場所に保管し、後任者に引き継ぐ

教科指導の引き継ぎ

引き継ぐべき教材

資料形式保管場所
年間指導計画デジタル校務用PC共有フォルダ
単元計画・学習指導案デジタル校務用PC共有フォルダ
自作プリント・ワークシートデジタル+紙共有フォルダ+教科準備室
定期テスト問題・解答デジタル共有フォルダ(アクセス制限付き)
教科書・指導書教科準備室
評価基準(ルーブリック)デジタル共有フォルダ

進度の記録

退職時点での各クラスの授業進度を明確に記録しておきます。

  • 教科書の何ページまで進んだか
  • 未実施の単元テスト
  • 提出済み・未提出の課題

校務分掌の引き継ぎ

校務分掌ごとに「業務マニュアル」を作成します。

マニュアルに含めるべき内容

  • 年間スケジュール(月別のタスク一覧)
  • 各業務の手順書
  • 関係する外部機関の連絡先
  • 使用するシステム・ソフトの操作手順
  • 過去の経緯や注意点(「この業務は○○の理由で△△のやり方にしている」等)

主な校務分掌の引き継ぎポイント

分掌重要な引き継ぎ事項
教務主任時間割編成のルール、年間行事予定の作成手順
生徒指導継続指導中の案件、関係機関(警察・児相)との連携状況
進路指導推薦書のフォーマット、大学・企業との連絡先
研究主任校内研究の進捗、研究授業のスケジュール
ICT担当ネットワーク設定、アカウント管理の手順

部活動顧問の引き継ぎ

引き継ぎ資料

  • 部員名簿・保護者連絡先
  • 年間活動計画・大会日程
  • 部費の収支報告書
  • 練習メニュー・指導方針
  • 備品一覧と保管場所
  • 外部コーチとの契約状況
  • 各種団体(中体連・高体連等)への登録情報

引き継ぎが終わらない場合

引き継ぎが完全に終わらなくても、退職日は変わりません。最低限、以下を確保してください。

  • 全ての資料をデジタル化して共有フォルダに格納
  • 「引き継ぎ一覧」を作成し、資料の所在を明記
  • 退職後の連絡先を校長に伝えておく(任意。質問があった場合に対応可能なら)