インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 渡辺 大輝さん(仮名)
- 年齢: 29歳
- 経験年数: 自衛隊7年(曹に昇任)
- 勤務先: 自衛隊 艦艇部隊
- 現在: 退職後3か月の療養を経て、物流会社で事務職として勤務
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Q: 体を壊したきっかけを教えてください。
艦艇部隊の乗組員として7年間勤務していました。艦上での生活は体力勝負です。重い物資の搬入、狭い艦内での作業、揺れる甲板での訓練が日常でした。5年目くらいから腰痛が出始め、整形外科で「椎間板ヘルニア」と診断されました。それでも「この程度で休むわけにはいかない」と思い、痛み止めを飲みながら勤務を続けていました。
Q: 症状はどのように悪化しましたか?
腰痛をかばって歩いているうちに、今度は膝にも痛みが出始めました。長期航海中は医療施設にかかれないので、艦内の衛生員に湿布をもらうだけの対処でした。ある長期航海の終盤、甲板で作業中に腰が「バキッ」となって動けなくなったんです。帰港後すぐに病院で検査を受けたところ、腰椎椎間板ヘルニアが悪化していて「重作業は避けるべき」と診断されました。
Q: 休職という選択肢はありましたか?
組織には「病気休職」の制度がありますが、艦艇部隊の乗組員が地上勤務に配置転換されるケースもあります。しかし、地上勤務でもデスクワークばかりではなく、体力を使う場面は多いです。主治医から「完治は難しい。今後も重作業を続けると悪化する可能性が高い」と言われ、自衛官として続けることは難しいと判断しました。
Q: 退職の意思を伝えた時の反応は?
分隊長に相談したところ、「地上勤務への異動を検討する」と言ってくれました。しかし、異動先でも体力的な負担がなくなるわけではなく、根本的な解決にはならないと感じました。その後、艦長との面談で正式に依願退職の意思を伝えました。艦長は「お前の体が一番大事だ。無理はするな」と言ってくれました。退職願は護衛隊群司令宛に提出し、約2か月半で退職が認められました。
Q: 退職までの期間はどのように過ごしましたか?
退職が決まってからは、後任への引き継ぎと身辺整理に充てました。艦艇部隊の乗組員は専門的な知識が必要なので、自分が担当していた機器の取り扱いマニュアルを整理して後任に渡しました。また、就職援護の制度を利用して、退職前から転職活動を始めました。
Q: 退職後の療養期間はどう過ごしましたか?
退職後3か月間はリハビリに専念しました。整形外科でリハビリを受けながら、自宅でもストレッチや軽い筋トレを続けました。腰痛は完全には治りませんでしたが、日常生活に支障がない程度には回復しました。この期間中、退職金と貯蓄で生活できたので、経済的な不安はそれほどありませんでした。
Q: 転職先はどのように決めましたか?
体に負担の少ないデスクワーク中心の仕事を探しました。自衛隊の就職援護で紹介された企業の中に、物流会社の事務職がありました。海上自衛隊での補給・物資管理の経験が評価されて採用されました。年収は自衛隊時代の約380万円から約330万円に下がりましたが、体を壊すリスクがなくなったことを考えると、納得しています。
Q: 体調不良で退職を考えている自衛官にアドバイスをお願いします。
自衛隊は「体が資本」の職場です。体を壊してからでは遅いので、痛みや不調を感じたら早めに医療施設を受診してください。「みんなも我慢しているから」「これくらいで休むのは甲斐性がない」という雰囲気に流されないでください。退職後に公務災害(民間の労災に相当)の申請ができるケースもあるので、在職中から記録を残しておくことが大切です。また、退職前に障害等級の認定を受けられる場合もあるので、自衛隊病院の担当医に相談してみてください。