インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 山田 健太さん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 自衛隊8年(曹に昇任)
- 勤務先: 自衛隊 部隊
- 現在: 民間セキュリティ企業のリスクマネジメント部門勤務
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Q: 自衛隊に入隊したきっかけを教えてください。
高校卒業後、特にやりたいことがなく、「体力には自信がある」「安定した職業に就きたい」という理由で任期制自衛官として入隊しました。最初の教育期間は本当にきつかったですが、同期との絆が生まれ、部隊に配属されてからは充実した日々を過ごしていました。3年目に曹候補生試験に合格して、非任期制の曹に昇任しました。
Q: 8年間でどのようなスキルが身につきましたか?
射撃や格闘術といった戦闘技術だけでなく、部隊運営やリーダーシップのスキルが身につきました。班長として10名ほどの部下を指導する経験もしました。また、災害派遣にも2回参加し、危機管理や判断力が鍛えられました。大型免許や危険物取扱者の資格も自衛隊にいる間に取得しました。
Q: 転職を考え始めたきっかけは何でしたか?
きっかけは、同期の中で早期に退職して民間企業に転職した友人の話を聞いたことです。彼は外資系のセキュリティ企業に転職し、自衛隊時代の倍近い年収を得ていると聞きました。自衛隊の給与は安定していますが、30歳で年収が約400万円程度。民間で同じようなスキルを活かせば、もっと稼げるのではないかと思い始めました。また、40代以降のキャリアパスが限られている点も不安でした。幹部自衛官でなければ、定年も若く、再就職が必要になります。
Q: 依願退職の手続きはどのように進めましたか?
自衛隊の退職は一般企業とはまったく違います。まず直属の上官(小隊長)に退職の意思を伝え、その後中隊長、大隊長と順番に面談がありました。「なぜ辞めるのか」「引き留めに応じる余地はないか」を何度も確認されます。書類上は「退職願」を提出しますが、民間の退職届とは違い、提出先は連隊長です。退職の意思を伝えてから実際に退職するまで、約3か月かかりました。
Q: 引き留めはありましたか?
かなりありました。中隊長からは「曹になったばかりなのにもったいない」「もう少し続ければ幹部候補生学校を受けられる」と言われました。大隊長との面談では「民間に行っても通用するのか」「自衛隊でしか得られない経験がある」と諭されました。正直、心が揺れた部分もありましたが、最終的には「30歳の今が転職のラストチャンス」と自分に言い聞かせました。
Q: 転職活動はどのように行いましたか?
自衛隊には「就職援護」という制度があり、退職予定者向けに就職支援をしてくれます。地方協力本部が民間企業を紹介してくれるのですが、紹介される企業は警備会社やトラック運転手が多く、自分が希望するセキュリティコンサルティングの仕事は少なかったです。そこで、自分でも転職エージェントに登録して活動しました。「元自衛官」という経歴は、危機管理やリスクマネジメントの分野では非常に評価されました。
Q: 退職時に注意したことはありますか?
自衛隊を退職する際には、身分証の返納、官品(制服や装備品)の返納、営内居住者は部屋の明け渡しなど、独自の手続きがあります。また、退職後は防衛上の秘密に関する守秘義務が継続します。再就職先が防衛関連企業の場合は、再就職規制に該当しないか確認が必要です。私の場合は民間のセキュリティ企業だったので、特に問題はありませんでした。
Q: 転職後の年収や待遇の変化を教えてください。
年収は約400万円から約600万円に上がりました。自衛隊時代は官舎に住んでいたので住居費がほぼかかりませんでしたが、民間に転じてからは家賃がかかるようになりました。それでも手取りは大幅に増えています。勤務時間も規則的で、当直や演習による長期の拘束がなくなったのは大きいです。
Q: 自衛隊からの転職を考えている方にアドバイスをお願いします。
自衛隊で身につけたスキルは民間でも十分通用します。ただし、自衛隊の常識と民間の常識は異なるので、ビジネスマナーの勉強は必須です。転職活動は就職援護だけに頼らず、自分でも転職エージェントを利用することをおすすめします。退職の意思を伝えてから実際に退職するまでに時間がかかるので、早めに動き始めることが大切です。依願退職は権利ですので、引き留めに屈する必要はありません。