• 名前:斎藤 和也(仮名)
  • 年齢:33歳
  • 経験年数:10年
  • 勤務先:営業会社(ルート営業部門)
  • 家族構成:独身、父(68歳・要介護2)、母(65歳)

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Q: 退職を考えた理由を教えてください。

父が脳梗塞で倒れたのがきっかけです。右半身麻痺が残り、要介護2の認定を受けました。母がメインで介護していますが、母自身も腰が悪く、一人では入浴介助やリハビリの付き添いが困難。兄弟は妹がいますが、遠方に嫁いでいて頼れません。

営業は朝7時に出発して、得意先を回り、帰社は19時過ぎ。月に2〜3回は出張もある。この生活で介護を並行するのは物理的に無理でした。

Q: 介護と仕事の両立はどの程度試みましたか?

最初の3ヶ月は頑張りました。介護休暇を使ってケアマネとの面談や通院の付き添い。デイサービスを週3回入れて、ヘルパーも手配。でも、急な体調変化で呼び出されることが月に2〜3回あり、その度に営業の予定をキャンセル。

会社の介護休業制度(最大93日)も検討しましたが、93日で介護が終わるわけがない。時短勤務は制度上あったものの、ルート営業で時短は現実的ではありませんでした。得意先の発注は朝一に集中するし、配送スケジュールも決まっている。

課長に「介護で困っている」と相談したら、「内勤への異動を打診してみる」と言ってくれましたが、人事から「当面はポストが空かない」と返答。結局、何も変わらないまま半年が過ぎました。

Q: 退職の決断と退職届の提出について教えてください。

父が自宅で転倒して骨折した日に決めました。デイサービスから帰宅した母が目を離した隙のことで、「もう限界だ」と。

翌週、課長に退職の意思を伝えました。課長は「もう少し待ってくれ、異動の話を進める」と引き止めてくれましたが、父の状態を考えると待てないと伝えました。

退職届は代表取締役社長宛て、「一身上の都合により」で提出。退職日は1ヶ月半後に設定しました。介護が理由であることは口頭では伝えましたが、退職届の文面には書きませんでした。

Q: 顧客の引き継ぎはどう進めましたか?

10年分の得意先、約120社。後任は若手2名で分割して引き継ぐことになりました。

1ヶ月かけて、後任と一緒に主要得意先を回りました。各店舗の担当者の名前、発注パターン、棚割りの特徴、季節商品の傾向などをまとめたExcelシートを作成。これが後任に非常に好評でした。

最終出勤日には得意先に挨拶メールを送信。「長年お世話になりました」という簡潔な内容です。社用車はガソリン満タン・洗車して返却。ETCカードと給油カードも忘れずに。

Q: 退職後の生活はどうですか?

退職後は介護に専念しています。父のリハビリの付き添い、通院、入浴介助が日課。デイサービスの日は自分の時間が取れるので、その間にリモートワークの副業(Webライティング)を始めました。

介護が落ち着いたら、リモートワーク可能な営業職に復帰するつもりです。10年の法人営業経験があるので、インサイドセールスやカスタマーサクセスなど、在宅でできる営業職の選択肢は増えています。

Q: 介護と仕事の両立に悩んでいる方にメッセージをお願いします。

介護は先が読めません。「あと少し頑張れば」と思っていても、状況は悪化することもあります。会社の制度で対応できないなら、退職も一つの選択肢です。

退職前に必ずやるべきことは、介護保険の申請とケアマネとの面談。使える公的サービスを最大限活用した上で、それでも足りないなら退職を検討する。順番を間違えないことが大切です。

営業職の経験は必ず活きます。介護が落ち着いたら、必ずキャリアを再スタートできます。