飲食店でパワハラを受けて辞めたいと感じている方へ、証拠の残し方と退職の進め方を解説します。
飲食店で多いパワハラの種類
飲食業界はパワハラが発生しやすい環境とされています。厚生労働省の定義に基づくと、以下のような行為がパワハラに該当します。
| パワハラの類型 | 飲食店での具体例 |
|---|---|
| 身体的な攻撃 | 物を投げつける、小突く、厨房器具で威嚇する |
| 精神的な攻撃 | 客前での叱責、人格否定、「使えない」等の暴言 |
| 人間関係からの切り離し | シフトを極端に減らす、情報共有から外す |
| 過大な要求 | 一人では不可能な業務量を押し付ける |
| 過小な要求 | 皿洗いだけをずっとやらせる(能力に見合わない) |
| 個の侵害 | プライベートの詮索、SNSの監視 |
証拠の残し方
パワハラの証拠は、退職後の失業保険申請や損害賠償請求で重要になります。
1. 録音
スマートフォンの録音アプリを使い、パワハラ発言を録音します。日本では、当事者の一方が録音する場合は違法ではない(秘密録音)とされています。
- スマホをポケットに入れたまま録音
- 休憩室での会話も対象
- 日時が分かるように録音前後にメモを残す
2. メモ・日記
パワハラを受けた日時・場所・内容・目撃者を記録します。
- 日時(年月日・時間)
- 場所(厨房、ホール、事務所など)
- 加害者の氏名・役職
- 具体的な言動(できるだけ正確に)
- 目撃者の有無と氏名
- 自分の心身の状態
3. LINEやメールのスクリーンショット
業務連絡のLINEグループや個別メッセージでパワハラに該当する内容があれば、スクリーンショットを保存します。
4. 診断書
パワハラが原因で体調を崩した場合は、心療内科や精神科を受診し、診断書をもらいましょう。「職場の人間関係によるストレスが原因」と記載してもらえると、会社都合退職の根拠になります。
相談先一覧
| 相談先 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー(労働局) | 無料 | 各都道府県にあり、パワハラの相談に対応 |
| 労働基準監督署 | 無料 | 法令違反(残業代未払い等)がある場合 |
| 法テラス | 無料(初回) | 弁護士への法律相談 |
| みんなの人権110番(法務局) | 無料 | 0570-003-110 |
| 労働組合(ユニオン) | 組合費 | 会社との団体交渉が可能 |
退職手順
ステップ1: 証拠を集める
退職を切り出す前に、パワハラの証拠を十分に集めておきましょう。退職後は証拠収集が困難になります。
ステップ2: 会社都合退職にできるか確認
パワハラが原因の退職は、会社都合退職(特定受給資格者)に該当する可能性があります。会社都合退職になると、失業保険の給付開始が早くなり、給付日数も増えます。
会社都合退職の認定には、パワハラの証拠と、会社に改善を求めたが改善されなかった事実が必要です。
ステップ3: 退職届を提出
パワハラが原因でも、退職届の理由欄には「一身上の都合により」と書くのが一般的です。会社都合退職の認定はハローワークで行うため、退職届の文面とは別の手続きです。
ステップ4: ハローワークで相談
退職後にハローワークで失業保険の申請をする際、パワハラの証拠を提示し、会社都合退職への変更を申し出ましょう。
精神的に限界な場合
店長や上司と直接話すことが難しい場合は、以下の方法があります。
- 退職届を内容証明郵便で送付: 対面不要で退職可能
- 退職代行サービスの利用: 本人に代わって退職手続きを進めてくれる
- 心療内科の受診: 医師の判断で休職の診断書を出してもらい、まず休職する
注意点
- 退職前にパワハラの証拠を必ず確保する
- 感情的にならず、冷静に手続きを進める
- 一人で抱え込まず、必ず外部の相談窓口を利用する