# 居酒屋チェーン店長から食品メーカーへ転職|飲食8年目のキャリアアップ
インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 原田 翔太さん(仮名)
- 年齢: 30歳
- 経験年数: 居酒屋チェーン 8年(ホールスタッフ→副店長→店長)
- 勤務先: 居酒屋チェーン
- 転職先: 食品メーカー 業務用営業部門
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Q: 飲食業界に入ったきっかけと、転職を考え始めた時期を教えてください。
大学時代のアルバイトがきっかけです。居酒屋でのバイトが楽しくて、そのまま新卒で入社しました。最初の3年間はホールスタッフとして接客の基本を叩き込まれ、4年目に副店長、6年目に店長に昇進しました。
転職を意識したのは店長になって1年くらい経った頃です。店長の仕事は「経営」なんですよ。売上管理、原価管理、人件費管理、アルバイトの採用と教育、クレーム対応。飲食の仕事が好きで入ったのに、気づいたら数字に追われる毎日でした。
しかも、店長の年収が350万円という現実。大学の同期は400万〜500万円稼いでいるのに、自分は夜遅くまで働いて350万円。30歳を前にして「このままでいいのか」と本気で考え始めました。
Q: 飲食業界の待遇の実態を教えてください。
私がいたチェーンでは、店長の月給は約25万円(手取り20万円程度)。ボーナスは業績連動で、良い時でも年間2ヶ月分。残業代は「みなし残業手当」として月3万円が含まれていましたが、実際の残業時間は月80〜100時間。時給換算すると最低賃金を下回る月もありました。
飲食業界の問題は「長時間労働が当たり前」という文化です。仕込みで朝10時に出勤して、閉店作業が終わるのは深夜1時。これが週6日。休みは月に4〜5日で、休みの日も食材の発注やシフト調整の電話がかかってきます。
店長の上のポジションはエリアマネージャーですが、エリアマネージャーの年収も400万円台。さらに上の部長クラスでようやく500万円超え。出世しても待遇の改善が限定的なんです。
Q: 転職活動はどのように進めましたか?
飲食業界からの転職は本当に大変でした。まず、転職活動に使う時間がない。面接は平日の日中にあるのに、飲食店は365日営業なので有給を取りづらい。結局、深夜に帰宅してから履歴書を書き、転職サイトで求人を探す生活を半年続けました。
転職エージェントに登録した時、「飲食店の店長経験だけでは書類選考が通りにくい」と言われました。ただ、「店舗マネジメント経験」「P/L管理経験」「30名以上のスタッフのマネジメント経験」と言い換えると、一気に評価が変わりました。
食品メーカーを狙ったのは、飲食の知識を活かせるからです。居酒屋の仕入れ側の仕事をしていたので、食材の目利きや飲食店のニーズを理解している点が評価されました。
Q: 退職の手続きはスムーズでしたか?
全くスムーズではありませんでした。飲食業界は慢性的な人手不足なので、退職の意思を伝えた瞬間から猛烈な引き止めが始まります。
まずエリアマネージャーに電話で伝えたところ、「後任が見つかるまで待ってくれ」「給料を上げるから考え直してくれ」と。その後、部長からも電話がかかってきて、「せっかく店長まで育てたのに」と恩義を持ち出されました。
しかし、民法上は退職届提出から2週間で退職の効力が発生します。就業規則では1ヶ月前の通知を求められていたので、1ヶ月前に書面で退職届を提出しました。このサイトのテンプレートで作成した退職届を使いました。
引き止めが執拗な場合は、退職届を内容証明郵便で送る方法もあります。受け取り拒否ができないので、確実に届きます。
Q: 引き継ぎで気をつけたことは?
店長としての引き継ぎは多岐にわたりました。
- 売上・原価・人件費の管理帳簿
- アルバイトスタッフ全員のシフト希望と特性メモ
- 仕入れ業者との取引条件と担当者の連絡先
- 常連客の好みや予約パターン
- 保健所の営業許可証や防火管理者証の保管場所
- 店舗設備のメンテナンス記録
特にアルバイトスタッフへの説明は丁寧に行いました。店長交代でスタッフが辞めてしまうと店が回らなくなるので、「新しい店長が来ても安心してほしい」と一人ずつ話をしました。
Q: 転職後の変化と、飲食業界で転職を考えている方へのアドバイスをお願いします。
年収は約450万円にアップしました。100万円の増加ですが、労働時間は月160時間程度(残業含む)に激減しました。時給換算すると、飲食時代の2倍以上です。
土日祝日が休みで、お盆や年末年始も休める。これが「普通」だと知った時の衝撃は大きかったです。飲食業界にいると、「365日営業」が当たり前すぎて感覚が麻痺してしまいます。
飲食業界で転職を考えている方へ。「飲食しか経験がないから転職できない」は思い込みです。飲食店の店長経験には、マネジメント力、コミュニケーション力、数値管理能力、クレーム対応力など、多くの転職可能なスキルが含まれています。
退職届は「辞める」と言った瞬間に上司が取り上げようとするケースもあるので、コピーを手元に残しておいてください。引き止めに負けそうな場合は、退職代行サービスを使うことも選択肢の一つです。ただし、まずは自分で正式な退職届を提出するのが基本です。