# 飲食業界の将来性に不安を感じて転職|和食店料理人10年目の決断
インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 田村 和也さん(仮名)
- 年齢: 32歳
- 経験年数: 和食料理人 10年
- 勤務先: 割烹料理店
- 転職先: 大手給食サービス会社 メニュー開発部門
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Q: 飲食業界の待遇に不満を感じていたのはいつ頃からですか?
料理人として7年目くらいからです。調理専門学校を卒業して、最初の割烹料理店で5年、2店目で5年の計10年間修行しました。
10年目の年収は約320万円です。月給22万円、ボーナスなし。10年間腕を磨いてきて、320万円。同世代の平均年収が400万円以上であることを考えると、圧倒的に低い水準です。
飲食業界の給与が上がらない構造的な問題は、「飲食店の利益率の低さ」に尽きます。一般的な飲食店の営業利益率は3〜5%程度。原材料費が30%、人件費が30%、家賃が10%、その他経費で残りが消える。売上が上がっても、従業員の給料に回せる余裕がないんです。
Q: 飲食業界の将来性についてどう感じていましたか?
複数の不安がありました。
まず、人手不足が年々深刻化していること。若い人が飲食業界を避けるようになり、慢性的に人が足りない。結果、一人当たりの業務量が増え続ける悪循環です。私が入った頃は調理場に5人いましたが、辞める頃には3人。仕事量は変わらないのに。
次に、原材料費の高騰。食材の価格は上がり続けているのに、メニュー価格に転嫁しにくい。客離れを恐れて値上げできない店が多く、しわ寄せは人件費に来ます。
コロナ禍での経験も大きかったです。飲食業界がいかに脆弱な産業かを痛感しました。営業自粛で売上ゼロ。従業員は雇用調整助成金でなんとか繋ぎましたが、「この業界に一生を預けていいのか」と本気で考えるきっかけになりました。
Q: 和食の技術を活かせる転職先をどう探しましたか?
最初は他の飲食店への転職を考えました。ホテルの和食レストラン、高級料亭など、より待遇のいい店を探しました。でも、面接で聞いた条件はどこも似たり寄ったり。年収350万円前後、週休1日、ボーナスなし。飲食店に転職しても根本的な問題は解決しないと悟りました。
転機になったのは、転職エージェントに相談した時です。「和食の調理技術を活かせる飲食以外の仕事」として、給食サービス会社、食品メーカー、料理教室などを提案されました。
給食サービス会社に興味を持ったのは、「大量調理のメニュー開発」という仕事に和食の知識が活かせることと、待遇が飲食店より圧倒的に良かったからです。大手の給食会社は福利厚生が整っていて、ボーナスも出る。これだけで飲食店との差は歴然でした。
Q: 退職の手続きについて教えてください。
割烹料理店のような個人店の退職は、大企業とは勝手が違います。就業規則が整備されていないことも多く、「退職届をどこに出すか」すら分からないケースがあります。
私の店は、オーナー(大将)に直接伝えました。料理人の世界では「師匠に辞めることを伝える」のが礼儀とされています。お世話になった大将に「10年間ありがとうございました。次のステージに進みたいと思います」と頭を下げました。
大将は「残念だが、お前の人生だ。頑張れ」と送り出してくれました。飲食業界は横のつながりが強いので、円満退職は絶対条件です。揉めて辞めると、業界内での評判に影響します。
退職届は念のため書面で提出しました。このサイトのテンプレートで作成して、大将に手渡しました。個人店でも退職届の書面提出は重要です。口頭だけだと「言った言わない」のトラブルになることがあります。
Q: 引き継ぎで気をつけたことは?
和食の料理人の引き継ぎは、レシピの文書化が最も重要です。割烹料理店の多くは、レシピが料理人の頭の中にしかありません。出汁の引き方、魚のおろし方、季節の献立構成など、10年間で身につけた知識を全て文書化しました。
また、仕入れ先の情報(築地の仲卸、地方の農家など)と、常連客の好み・アレルギー情報なども引き継ぎました。特に、仕入れ先との信頼関係は一朝一夕に築けないものなので、後任の料理人を仲卸に連れて行って紹介しました。
退職日は、年末年始やお盆などの繁忙期を避けて設定しました。繁忙期に辞めると、残されたスタッフに多大な迷惑がかかります。可能な限り閑散期を選ぶのが飲食業界のマナーです。
Q: 転職後の変化と、飲食業界の方へのアドバイスをお願いします。
年収は約430万円にアップしました。110万円の増加です。さらに、ボーナス年2回、社会保険完備、週休2日、有給休暇取得率90%以上。飲食店時代には考えられない待遇です。
仕事内容は、学校や病院向けの給食メニューの開発です。和食の知識が存分に活かせますし、「一度に何千食分の調理」というスケールの大きさにやりがいを感じています。厨房で長時間立ちっぱなしの仕事ではないので、体への負担も大幅に減りました。
飲食業界で将来に不安を感じている方へ。飲食の技術は飲食店以外でも活きます。食品メーカー、給食会社、ホテル、料理教室、フードスタイリスト、レシピ開発者、食品ECなど、「食」に関わる仕事は飲食店だけではありません。
「料理人は飲食店で働くものだ」という固定観念を捨ててください。あなたの技術と経験は、もっと多くの場所で求められています。
退職届は書面で、余裕を持って提出してください。飲食店は人手不足なので引き止めが強いですが、自分の人生は自分で決めるもの。このサイトのテンプレートで退職届を作成して、新しいキャリアへの第一歩を踏み出しましょう。