インタビュー対象者プロフィール

  • 名前: 佐藤 絵里さん(仮名)
  • 年齢: 29歳
  • 経験年数: 7年(総合病院の内科病棟に6年勤務後、退職)
  • 前職: 総合病院の消化器内科病棟
  • 現職: クリニック勤務(転職後1年)

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Q: どのような人間関係の問題があったのですか?

入職3年目くらいから、10年目の先輩看護師との関係が悪化しました。最初は指導の範囲内だと思っていたんですが、だんだんエスカレートして。ナースステーションで他のスタッフがいる前で「あなた本当に看護師?」と言われたり、申し送りで私だけ無視されたり。インシデントが起きると関係なくても「あなたのせいでしょ」と言われることもありました。

一番つらかったのは、患者さんの前で怒鳴られたことです。患者さんが気まずそうにしているのを見て、本当に申し訳なくて。

Q: 周囲に相談はしましたか?

同期には話していましたが、みんな「あの人はああいう人だから」と諦めムードでした。師長に相談したこともあるんですが、「先輩も指導熱心なだけだから」と取り合ってもらえなくて。

4年目のときに病院のハラスメント相談窓口に相談しました。でも結局、師長に「注意しておきます」と言って終わりで、何も変わりませんでした。むしろその後、先輩からの当たりがさらにきつくなって、「チクったでしょ」と言われたこともあります。

Q: 退職を決意したきっかけは何でしたか?

6年目の冬、夜勤中にその先輩と二人きりになる勤務が続いたんです。ナースコールが鳴っても「あなたが行きなさいよ」と動かない。患者さんの急変時に協力を求めても嫌な顔をされる。夜勤前になると動悸がして眠れなくなり、心療内科を受診しました。

医師から「適応障害の疑い」と言われたとき、「もうここにいちゃいけない」と思いました。自分の健康を犠牲にしてまで続ける意味はないと。

Q: 退職届はどのように出しましたか?

師長に「体調不良で退職したい」と伝えました。退職届の理由は「一身上の都合」です。パワハラが原因とは書きませんでした。正直、もう関わりたくなかったので。

ただ、心療内科の診断書は師長に提出しました。「休職という選択肢もある」と言われましたが、同じ環境に戻っても意味がないと判断して退職を選びました。退職届は院長宛てで、退職日の2ヶ月前に提出しました。

Q: 退職時に気をつけたことはありますか?

パワハラの記録は日記形式でつけていました。日付・場所・内容・目撃者を書き残していたんです。結局使いませんでしたが、もし労基署に相談する場合には必要になるので、同じ状況の方にはぜひ記録を残すことをおすすめします。

あと、有給休暇は全部消化しました。最初は「引き継ぎがあるから」と渋られましたが、「法律上の権利です」と伝えたら認めてもらえました。

Q: 退職後の生活はどう変わりましたか?

退職後1ヶ月は何もせずに休みました。心療内科に通いながら、少しずつ回復していきました。3ヶ月後にクリニックに転職して、今は日勤のみで穏やかに働いています。

クリニックは少人数なので人間関係がシンプルで、院長も話しやすい方です。年収は少し下がりましたが、心の健康には代えられません。あのまま我慢し続けていたら、もっと深刻な状態になっていたと思います。

Q: 同じ悩みを持つ看護師にメッセージをお願いします。

「我慢すれば済む」と思わないでほしいです。私は4年間我慢して、結局体を壊しました。相談窓口がダメなら、外部の労働相談(労基署、都道府県の労働局)もあります。退職は逃げではなく、自分を守るための選択です。退職届を出すのは怖いけれど、出した後の解放感は忘れられません。