インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 中村 香織さん(仮名)
- 年齢: 31歳
- 経験年数: 8年(急性期病院のICUに7年勤務後、退職)
- 前職: 急性期病院のICU
- 現在: 療養後、訪問看護ステーションに復職
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Q: 体調を崩し始めたのはいつ頃からですか?
5年目あたりからです。ICUは2交代制で、日勤と夜勤を繰り返す生活でした。夜勤は月に8回。夜勤明けの日は寝ても寝ても疲れが取れなくて、休日もベッドから起き上がれないことが増えました。
6年目になると、夜勤前に吐き気がするようになりました。「緊張しているだけ」と思っていたんですが、次第に不眠が続くようになって。夜勤中にモニターのアラームが鳴ると心臓がバクバクして、手が震えることもありました。
Q: 医療機関には相談しましたか?
7年目の春に心療内科を受診しました。診断は「適応障害」と「不眠症」。医師からは「まず夜勤を外してもらうか、休職するか」と勧められました。
師長に診断書を提出して夜勤免除をお願いしたんですが、「ICUは全員が夜勤に入る前提の人員配置だから難しい」と言われました。代わりに「月4回に減らすことはできる」と提案されたんですが、それでも症状は改善しませんでした。
Q: 休職ではなく退職を選んだ理由は?
休職も考えました。でも、休職しても復帰先は同じICUです。復帰したらまた夜勤が始まる。根本的な解決にならないと思いました。
それに、休職中の同僚が「復帰しづらい」「居場所がなくなった感じがする」と言っていたのも影響しました。中途半端に戻るくらいなら、きちんと辞めて環境を変えた方がいいと判断しました。
Q: 退職届はどのように提出しましたか?
師長に口頭で退職の意思を伝えてから、1週間後に退職届を提出しました。宛名は院長で、理由は「体調不良により業務の継続が困難なため」としました。一身上の都合でも良かったんですが、傷病手当金の申請を考えて、体調不良であることを明記しました。
退職日は伝えてから2ヶ月後に設定しました。最後の1ヶ月は有給消化に充てました。その間に傷病手当金の手続きも進めました。
Q: 傷病手当金は受給できましたか?
はい、受給できました。健康保険に1年以上加入していたので、退職後も引き続き受給できました。月額で基本給の約3分の2が支給されて、最大1年6ヶ月受給可能です。心療内科の医師に申請書を書いてもらう必要があるので、退職前に主治医に相談しておくことをおすすめします。
失業保険は傷病手当金と同時には受け取れないので、傷病手当金の受給が終わってから切り替えました。ハローワークで「受給期間の延長」手続きをしておけば、療養中でも失業保険の受給権を確保できます。
Q: 回復までどのくらいかかりましたか?
退職後3ヶ月は何もせずに過ごしました。最初の1ヶ月は罪悪感でいっぱいでした。「自分は看護師失格だ」「もっと頑張れたんじゃないか」と。でも心療内科の先生に「休むことも治療の一部」と言われて、少しずつ気持ちが楽になりました。
半年後くらいから散歩を始めて、体力を少しずつ戻しました。8ヶ月後に訪問看護ステーションの見学に行って、雰囲気が良かったので入職を決めました。夜勤がなく、一人で訪問するスタイルが自分に合っていました。
Q: 体調不良で退職を考えている看護師にアドバイスはありますか?
3つ伝えたいことがあります。1つ目は、心療内科の受診をためらわないこと。「大げさかも」と思って受診が遅れると、回復にも時間がかかります。2つ目は、傷病手当金の制度を知っておくこと。退職後の生活費の不安が軽減されます。3つ目は、「看護師を辞める」のではなく「職場を変える」と考えること。看護師の資格はなくならないので、回復したら自分に合った働き方を選べます。