インタビュー対象者プロフィール
- 名前: 鈴木 裕子さん(仮名)
- 年齢: 31歳
- 経験年数: 8年(民間病院に7年勤務後、転職)
- 前職: 民間の病院の整形外科病棟
- 現職: 医療機器メーカーのクリニカルスペシャリスト
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Q: 待遇面でどのような不満がありましたか?
5年目くらいから昇給がほとんどなくなりました。基本給は毎年3,000円程度しか上がらず、年収は夜勤手当込みで430万円前後で頭打ち。同じ年齢の大学の同期(一般企業勤務)は500万〜600万円もらっていると聞いて、「あれだけ勉強して国家試験に受かったのに」と思うことが増えました。
ボーナスも業績連動で、コロナ禍では大幅カットされました。命のリスクを負いながら働いているのにボーナスが減るのは、正直モチベーションが下がりましたね。
Q: 将来性についてはどう考えていましたか?
看護師の昇進ルートって、主任→師長→看護部長くらいしかないんです。でもポストは限られているし、管理職になっても現場を離れるわけではないので負担が増えるだけ。給与は少し上がりますが、それに見合うかというと微妙です。
認定看護師や専門看護師の資格を取る道もありますが、取得に1〜2年の学校通学が必要で、その間は無収入。資格手当も月1〜3万円程度なので、投資に見合うリターンがあるのか疑問でした。
Q: 転職先はどのように見つけましたか?
最初は看護師転職サイトで探していましたが、病院やクリニックの求人ばかりで年収が大きく変わらないことに気づきました。そこで視野を広げて、「看護師の資格を活かせる一般企業」を探し始めました。
転職エージェント(一般向け)に登録して、医療機器メーカーのクリニカルスペシャリストという職種を紹介されました。手術室での機器の使い方を医師に説明する仕事で、看護師の臨床経験が直接活かせるポジションです。
Q: 退職届を出すまでの流れを教えてください。
転職先の内定が出てから、師長に伝えました。「一般企業に転職する」と話したら、かなり驚かれましたね。「看護師がもったいない」「企業はリストラがあるよ」と言われましたが、自分の中では決めていたので、丁寧にお断りしました。
退職届は2ヶ月前に院長宛てで提出しました。理由は「一身上の都合」です。引き継ぎは1ヶ月半で終わらせて、最後の2週間は有給消化しました。有給は20日以上残っていたんですが、全部は消化できず。それでも師長が「残りは買い取れないけど、できるだけ休んでいいよ」と言ってくれたのはありがたかったです。
Q: 転職後の待遇はどう変わりましたか?
年収は430万円から580万円になりました。基本給が上がっただけでなく、営業手当や出張手当もあるので。土日祝日は基本的に休みで、夜勤もありません。ただ、学会シーズンは出張が多くて忙しいです。
一番大きな変化は「頑張りが評価される仕組み」があることです。病院では何年働いても給与はほとんど変わりませんでしたが、企業では成果に応じてインセンティブがつきます。自分の努力が数字で見えるのがモチベーションになっています。
Q: 看護師からの転職に不安はありましたか?
めちゃくちゃありました。「病院以外で働いたことがない」「ビジネスマナーがわからない」「Excelもまともに使えない」と不安だらけでした。でも入社してみたら、研修制度がしっかりしていて、PCスキルは入社後に身につけられました。
看護師の「観察力」「コミュニケーション力」「緊急時の対応力」は、企業でもかなり評価されます。臨床経験があるからこそ医師と対等に話せるのは、大きな強みです。
給与に不満がある看護師は、「病院の中だけ」で転職先を探すのではなく、企業(医療機器メーカー、製薬企業、CRC、保険会社の査定など)も視野に入れてみてください。看護師免許が活きる仕事は、病院の外にもたくさんあります。